労災解決事例
会社の代表者からのパワハラなどについて,解決金の250万円を獲得した事例
ご相談内容
相談者(30代女性)は,期限の定めのない雇用契約で,事務職で働いていた会社において,会社の代表者から個人的な付き合いを強要されるとともに,それを拒絶すると暴言を浴びせられ,退職を迫られました。
解決の方針・結果
会社の代表者の言動は,パワハラなどにあたるとともに,解雇の通告は明らかに法的には無効といえるものでした。
ただ,このケースでは,相談者が,このような代表者のいる会社に戻ることに不安があり,一定の金銭をもらって早期に退職したいという希望がありました。
そこで会社に対して、内容証明で解雇は無効であり,相談者は労働者の地位にあることを主張するとともに,他方で,会社側で解雇を撤回したうえで,合意退職に向けた話し合いを希望するのであれば,条件次第では合意退職に応じても良いと通知をしました。
また,当面は,精神的ショックにより会社には出勤できない旨を併せて通知しました。
会社と何度も交渉した結果,最終的には,会社側が250万円の解決金を支払うこと,所定の退職金(約100万円)を支払うこと,会社都合の退職とすることを条件に,退職をすることで合意が成立しました。
相談後,約2か月足らずでのスピード解決となりました。
また,相談者は,退職日までに,新しい職場も見つかりました。
労働事件は,相談後,素早い対応が必要である場合が多く,丁寧かつスピーディな対応を心掛けています。 また,労働事件は,長引くことが依頼者の利益には必ずしもつながらないことも多いため,依頼者の立場に立って会社との交渉で早期の解決を図ることも大切だと考えています。
工場内でプレス機の操作中に左手指を切断した事故で、労働審判により会社から1600万円の 損害賠償を獲得した事例
ご相談内容
工場内で、プレス機の操作中に左手指を切断する事故により、左手指の機能障害の後遺障害が残りました。そして、労災により10級の後遺障害の認定を受けた後、会社に対して、損害賠償を請求したいということで、当事務所に相談に来られました。
解決の方針・結果
相談を受けてから、内容証明により、会社に対して、安全配慮義務違反により、約2000万円の損害賠償を請求しました。
これに対して、会社からは、相談者に5割の過失があるとして、約800万円の回答がありました。
そこで、労働審判を提起したところ、労働審判では、相談者の方の過失が争点となりましたが、本件事故の際に操作していたプレス機が足踏み式であったことや会社の指示により椅子に座って作業していたため、安全装置が作動しなかったことなどの事故の状況や過去の裁判例を踏まえて、丁寧に主張しました。
その結果、こちら側の主張がほぼ全面的に認められて、第1回目の期日で、裁判所から、相談者に2割の過失を前提として、賠償額1600万円の和解案が示され、第2回目の期日で和解が成立しました。
長時間労働により脳出血を発症した会社員について後遺障害2級の労災認定を受け,勤務先との間で1億円を超える額での示談成立
先日,ある会社に勤務していた方が,仕事中に脳出血で倒れて,緊急入院して治療やリハビリを受けましたが高次脳機能障害と左半身麻痺の後遺障害が残りました。
この方は,管理職の方で,脳出血を発症する前の6か月から1年間は,1か月に100時間以上の残業をしていました。
相談を受けてから,まず,勤務先に対して,勤怠管理表の提出を求めるとともに,通勤に利用していたICカードの履歴の開示を求めるなどして,発症前,6か月間の労働時間と時間外労働時間の調査と把握を行いました。
次に,主治医と面談の上,現在の症状や後遺障害について聞き取りを行うとともに,労災の障害給付の診断書の作成を依頼しました。
そのうえで,勤務先の人事担当と面談して,労災申請を行う旨を伝えるとともに,相談者の担当業務や時間外労働の状況などを確認し,労災の申請書類への証明を依頼しました。
そして,申請書類を揃えて,労基署に出向いて労災申請をするとともに,相談者の担当業務の内容や時間外労働の状況などについて,資料を提出して説明を行いました。
これらの結果,相談から約1年2か月,労災申請から約7か月で,労災として認められ,2級の後遺障害の等級認定を受けることとなり,将来にわたって障害補償年金などを受給することができるようになりました。
また,その後,勤務先に対して,労災では補償の対象となっていない,慰謝料や逸失利益の請求を行い,約1年間の交渉の結果,勤務先が約1億3千万円の損害賠償金を支払うことで示談しました。
過重労働による脳・心臓疾患の労災が認められるためには,発症が業務による明らかな過重負荷によるものであることを立証する必要があります。
そのため,労災認定を受けるためには,
- 発症前の仕事の内容や時間外労働時間の把握
- 勤務先や主治医との交渉・調整
- 労基署への説明
などが必要となり,通常の労災申請と比較すると,相当な時間と作業が必要となります。
また,専門的な知識や経験なども欠かすことはできないと思います。
当事務所では,これまで,過重労働による脳・心臓疾患の労災認定について,数多く扱っており,専門的な知識とノウハウを持っています。
長時間労働により心筋梗塞を発症した会社員。
勤務先に対して、労働審判により未払残業代を支払わせるとともに、
後遺障害9級の労災認定を得ることに。
さらに約3千万円を超える額で、勤務先との間に和解を成立
ある会社の営業職の方が,月100時間近い残業をしていましたが,会社からは全く残業代が支払われていないとともに,その会社にはタイムカードなどがなく,会社での勤怠管理は行っていませんでした。
そこで,会社のセキュリティカードの記録や営業日報などを元に,一日ごとに残業時間を算出し,会社側に対して,過去2年間にわたって,1月100時間程度,合計500万円程度の残業代を請求しました。
しかし,会社側が支払を拒絶したため,労働審判の申し立てを行い,労働審判では,会社側が450万円程度の解決金を支払うことで和解しました。
そして,労働審判の後,会社側が労災申請の協力を拒否したため,直接,申請書類を揃えて,労基署に出向いて労災申請をするとともに,担当業務の内容や時間外労働の状況などについて,資料を提出して説明を行いました。
これらの結果,相談から約2年,労災申請から約1年で,労災として認められ,療養補償給付と休業補償給付を受けることができました。
また,症状固定後,主治医からの意見聴取や労基署への説明などを行ったうえで,障害報酬給付の申請を行った結果,後遺障害の9級の等級認定を受け,障害補償給付(一時金)などを受給することができるようになりました。
その後,勤務先に対して,労災では補償の対象となっていない,慰謝料や逸失利益の請求を行ったところ,その支払いを拒否したため,訴訟を提起し,最終的に勤務先が約3千万円の損害賠償金を支払うことで裁判上の和解が成立しました。
この事件では,残業時間を明確に立証できるものが十分にない中で,本人の聞き取りや資料などから,一日一日の残業の際の作業内容や時間を詳細に積み上げて,残業時間を矛盾なく立証する作業を丁寧に行ったことが結果として,労災の認定につながり,症状固定後に,主治医への意見聴取や後遺障害等級認定基準に基づいて労基署への資料提出や説明を丁寧に行ったことが,後遺障害の等級認定につながったものと思います。
このように,過重労働による脳・心臓疾患の労災認定を受けるためには,発症前の仕事の内容や時間外労働時間の把握,勤務先や主治医との交渉・調整,労基署への説明などが必要となり,通常の労災申請と比較すると,相当な時間と作業が必要となります。
また,専門的な知識や経験なども欠かすことはできないと思います。
当事務所では,これまで,過重労働による脳・心臓疾患の労災認定について,数多く扱っており,専門的な知識とノウハウを持っています。