労災Q&A

Q)数年前に仕事中にケガをしてしまい,通院していました。治療費は自分で払ったのですが,今からでも間に合いますか?

A)労災保険の療養補償給付は,療養の費用(治療費)を支払った日から2年経過していなければ,請求が可能です。労災が認められた場合,ご自身で支払った治療費については,後日,返還されます。


Q 労災の申請や会社への損害賠償の申し立てや請求には期限があるのでしょうか?

A)あります。Q1のとおり,例えば,労災保険の療養補償給付については,療養の費用(治療費)を支払った日の翌日から2年,後遺障害による障害補償給付を請求する場合は,症状固定日の翌日から5年が期限となります。

なお,会社に対して,損害賠償請求をする場合は,事故の発生した日の翌日から5年,後遺障害が残存している場合は,症状固定の翌日から5年となります。


Q)労災について相談を検討しています。どの弁護士を選んでも同じでしょうか?また,弁護士を選ぶ際の何かポイントはありますか?

A)労災事件に精通している弁護士かどうかが選ぶポイントです。後遺障害の認定や過失割合は,賠償額に大きく影響するので,これらに詳しい弁護士を選ぶ必要があります。


Q)労災の相談をしようかと検討しているのですが,最初にどれくらい費用が必要なのかを知ってからでないと,依頼に踏み切れそうにありません。

A)神戸山手法律事務所は,解決の見通しや可能性をできる限り早い段階でお伝えするとともに,弁護士費用については事前に見積書を提示することとしています。

神戸山手法律事務所の弁護士に最終的に依頼するかどうかは,解決の見通しや費用などを確認し,十分に検討してからで結構ですので,安心してご相談ください。


Q)労災申請の際に労基署に提出しなければいけない書類にはどんなものがありますか?

A)支給申請書のほか,後遺障害による障害補償給付を請求する場合は診断書等が必要となります。

また,発症した病気やケガが,業務と因果関係があるかが明らかでない場合,それら証明する根拠となる書類が必要となります。


Q)労基署に自分で労災の申請をすることは可能なのでしょうか?

A)可能です。

ただし,発症した病気やケガが,業務と因果関係があるかが明らかでない場合,それら証明する根拠となる書類が必要となります。


Q)パート中の作業が原因でケガをし,入院したのですが,会社に労災になるのかを聞いたら,正社員じゃないからパートは労災の対象外と言われました。治療費は自分で負担しなければならないのでしょうか?もし,労災になるなら,既に支払った入院費や治療費もさかのぼって請求できるのでしょうか?

A)労災保険は,一人でも雇われている者がいれば,すべての労働者が対象です。また,労災保険の費用は全額事業主の負担です。したがって,パート勤務でも労災の対象となります。


Q)残業が多く,脳出血で倒れて通院しました。会社から「自己管理ができていないからだ」と言われました。労災の申請はできないのでしょうか?

A)高血圧や高脂血症などの生活習慣病などがあっても,労災申請は可能です。

ただし,長時間の時間外労働の存在など,業務と発症した病気との関連性が高いことを裏付ける書類(タイムカードなど)が必要となります。


Q)会社(事業主)が労災申請に協力しません。申請したら解雇すると言われます。

A)労災の申請書には,事業主の証明書欄があり,被災した事実や賃金等の証明をしてもらう必要があります。しかし,会社が労災を請求することを嫌がり,この証明に協力しないこともあります。

  このような場合には,事業主(会社)の証明がなくても,証明を拒否されたことを記載して,労基署に報告することで,労災申請が可能です。

また,労災(労働災害)の申請は正当な権利行使であり,労災申請したことを理由にした解雇は法律上許されません。


Q)会社(事業主)が労災保険に加入していません。未加入者は労災給付を受けられませんか?

A)会社(事業主)が零細企業の場合,労災保険に加入していないことがあります。しかし,一人でも労働者を雇用する事業主は,原則として,当然に労災保険が成立することになります。

したがって,たとえ事業主が労災保険料を支払っていなくても,労働者は労災給付を受けることができます。この場合,国は事業主に対し,遡って保険料を徴収することになります。


Q)労災事故に遭いました。いつの時点で弁護士に相談するのが良いでしょうか。

A)会社が労災の申請に協力してくるかどうかによりますが,事故後,早い時点で一度弁護士に相談することをお勧めします。


Q)過労が原因で脳梗塞になりました。私の会社にはタイムカードがなく,労働時間を証明するものがありませんが,労災を認めてもらうことは可能でしょうか。

A)過労による脳・心臓疾患の場合は,長時間の時間外労働の存在を立証する必要があります。

 ただ,タイムカードがない場合でも,会社のセキュリティカードパソコンのログ交通系ICカードやETCカードの履歴などにより,労働時間を証明できる可能性もありますので,あきらめずに弁護士に一度ご相談ください。

Q)通勤中に交通事故に遭いました。労災から治療費や休業補償などが支払われましたが,加害者にも請求できるのでしょうか。

A)労災保険で支払われなかった慰謝料等を加害者に請求することが可能です。


Q)高所作業中に転落し,骨折をしました。労災から治療費等は支払われましたが,会社にも請求することはできるのでしょうか。

A)事業主は,従業員が安全で健康に働けるようにする安全配慮義務(労働安全衛生法5条)を負っています。従って,会社にも事故の原因となる落ち度がある場合,労災保険で支払われなかった部分について請求することが可能です。

この記事を書いた人:津田和之弁護士

photo神戸山手法律事務所で弁護士に従事する傍ら、関西学院大学 大学院司法研究科教授も務める。また、役職として、加古川市コンプライアンス法務アドバイザー (2013年4月~)、西宮市法務アドバイザー (2015年4月~)、兵庫県児童虐待対応専門アドバイザー (2012年6月~)、加古川市審理員 (2016年4月~)、稲美町審理員(2018年5月~)、三田市オンブズパーソン (2020年4月~)