生活保護受給者のジェネリック医薬品の原則化

先日(※2012年11月18日記事執筆当時)の新聞で,政府の行政刷新会議が,増え続ける生活保護費の事業仕分けで、受給者にジェネリック医薬品(後発薬)の使用を原則化すべきだとの意見を取りまとめたという報道がありました。

ジェネリック医薬品とは,後発医薬品(ジェネリック医薬品)は、開発から20~25年たった医薬品の特許期間が切れたあとで、その薬と同じ有効成分で作られた後発の医薬品のことをいいます。

先発医薬品と治療学的に同等であるものとして製造販売が承認され、一般的に、開発費用が安く抑えられることから、先発医薬品に比べて薬価が安くなっています。

このため、後発医薬品の普及は、患者負担の軽減、医療保険財政の改善に資するものと考えられますが、現在のところ、日本では、後発医薬品の数量シェアは22.8%であり,欧米諸国と比較して普及が進んでいません。

その理由の1つに、医療関係者の間で、後発医薬品の品質や情報提供、安定供給に対する不安が払拭されていないということが挙げられます。

こうした状況を踏まえ、厚生労働省では「平成24年度までに、後発医薬品の数量シェアを30%以上にする」という目標を掲げています。

そうした中で,このジェネリック医薬品の普及と生活保護の医療費の抑制という一石二鳥を狙って,政府でこのような方針が検討されているのだと思います。

岡田克也副総理は「医療が受けられなくなる問題とは違う。一歩踏み込むべきだ」と述べ、義務化に前向きな考えを示しているようです。

ただ,ジェネリック医薬品については,先発医薬品と品質や効能において全く同じではないと言われており,それを生活保護受給者に対して義務づけるというのは,どうしても疑問が残ります。

やはりこれは,生活保護受給者なら、病気の際に使う薬で差を付けてもいい、という考え方が背景にあると言われても仕方ないようにも思えます。

確かに,生活保護の受給者の医療費の抑制は必要だと思いますが,少し小手先の手段のような気がします。

むしろ,生活保護受給者への過剰診療を是正するなら,一部窓口負担を導入するなどの思い切った制度改正をする方がいいのではないだろうかと思います。

皆さんはどう思われますか?

この記事の執筆者:津田 和之 弁護士

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神戸山手法律事務所で弁護士に従事する傍ら、関西学院大学 大学院司法研究科教授も務める。また、役職として、加古川市コンプライアンス法務アドバイザー (2013年4月~)、西宮市法務アドバイザー (2015年4月~)、兵庫県児童虐待対応専門アドバイザー (2012年6月~)、加古川市審理員 (2016年4月~)、稲美町審理員(2018年5月~)、三田市オンブズパーソン (2020年4月~)