親族間の扶養義務について

親族間では、扶養義務は、どの範囲の者がどの程度負うことになるのでしょうか。

民法上扶養義務を負うのは、➀配偶者(民法752条)、➁直系血族及び兄弟姉妹(民法877条1項)、➂特別な事情がある場合、家庭裁判所の審判によって扶養義務を負わされる3親等以内の親族(同条3項)です。

このうち、➀、➁を絶対的扶養義務、➂を相対的扶養義務といわれています。

ただ、家庭裁判所の実務などでは、夫婦間の扶養、親の未成熟の子に対する扶養を「生活保持義務」、その他の扶養は「生活扶助義務」と呼んでいます。

前者は、相手方の生活を自己の生活の一部として自己と同程度の水準まで扶養する義務、すなわち、最後の一切れのパンまで分け与える義務とされています。

これに対して、後者は、相手方が生活難に陥った場合に自己に余力があれば援助すべき義務とされています。

そして、夫婦間やその間の子の婚姻費用や養育費支払の場面は、前者にあたりますので、自分の生活に余裕がないので支払わなくても良いというものではなく、自己の生活水準を切り下げてでも、扶養する義務があるといえます。

他方で、高齢者介護の場面での成年の子の親に対する義務は、後者にあたりますので、基本的には、自己に余裕がある範囲で援助すべき義務ということになります。

親族間のトラブルなどでお悩みの方は、どうぞお気軽に当事務所までご相談ください。

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