新型コロナウィルスを理由とする解雇について(パート・アルバイトのケース)

新型コロナウイルスの影響が拡大したことによって、多くの企業の経営が悪化し、パートやアルバイトを解雇する事例が多発しました。
今回は、パートやアルバイトとして勤務していた方が、新型コロナウィルスによる会社の経営状況が悪化により、突然、勤務先から解雇を言い渡された場合について考えたいと思います。

まず、パートやアルバイトの方であっても、労働契約法16条が定める「解雇権濫用の法理」は適用されます。
したがって、解雇権濫用の法理によると、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当と認められない解雇は違法・無効となります。

コロナ イメージ

期限の定めのない雇用の場合

正社員と同様に、経営悪化を理由とする解雇(整理解雇)をする場合は、整理解雇に関する4つの要素を総合的に考慮して当該解雇が解雇権の濫用に該当するかどうかが判断されます。


ただ、この場合に、パートやアルバイトの方の場合は、4つの要素のうち、「解雇回避の努力(解雇以外の方法の検討)」や「人選の合理性」において、正社員より不利に扱われるという面があることに注意が必要です。

有期雇用のパートやアルバイトの方が、その期間内で解雇された場合

有期契約(期間途中の解雇)の場合には、使用者は「やむを得ない事由」がある場合でなければ、期間途中の解雇はできません(労働契約法第17条)。

「やむを得ない事由」は通常の解雇事由よりも厳しく判断され、不当な解雇の場合、使用者は少なくとも期間満了までの支払い義務を負います(民法第536条第2項)。
そのため、期間途中の解雇を受け入れざるをえない場合は、基本的には、期間満了までの賃金を請求することができます。

また、有期契約の満了に伴って、雇い止めをされた場合は、どうなるのでしょうか。
有期契約(期間満了による雇止め)の場合には、有期契約は期間が満了すれば契約が終了するのが原則です。

ただ、更新を繰り返して無期契約と実質的に異ならない場合や反復更新の実態、引き続き雇用されると期待させる使用者の言動、契約書の更新に関する記載(更新の有無・内容)など、様々な事情をもとに合理的な期待が認められる場合は、使用者は雇止めができない場合もあります。
これらに当てはまれば期間満了ではあっても、雇止めを回避することができる場合があります。

なお、解雇された場合、労働基準法第22条第2項により、労働者は使用者に対して解雇理由証明書の交付を請求することが可能です。離職理由は、雇用保険の求職者給付(いわゆる失業手当)の受給に影響しますので、今後どのような対応を選択する場合であっても、解雇理由証明書の交付を請求しておくことをお勧めします。

不当解雇など労働トラブルでお悩みの方は、どうぞお気軽に当事務所までご相談ください。

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