定年後の再雇用による基本給の減額

60歳の定年後、多くの企業では再雇用という形で65歳まで雇用が継続されています。
この場合に、再雇用後の給与は、他の社員と同じ仕事に従事するにもかかわらず、それ以前と比べて大幅にダウンされるケースが多く、これが同一労働同一賃金の原則などに反するのでhないかという問題があります。

最近、定年後再雇用者の基本給減額の是非が争われた訴訟の判決で、名古屋地裁は、同じ仕事なのに基本給が定年前の6割を下回るのは不合理な待遇格差に当たると認め、企業(自動車学校)に対して未払い賃金分の支払いを命じる判決をしました。

判決によると、訴えを起こした男性2人は、それぞれ2013~14年に定年を迎えた後に再雇用を希望し、65歳まで嘱託職員として、自動車学校で技能講習や高齢者教習を担当した。仕事の内容や責任の範囲は定年前と変わらない一方、基本給は定年前の月額16万~18万円から7万~8万円ほどに下がったということでした。

判決では、「年功的性格があることから将来の増額に備えて金額が抑制される若い正社員の基本給すら下回っており、生活保障の観点からも看過しがたい水準に達している」と述べたうえで、再雇用の際に賃金に関する労使の合意がなかった点も挙げ、定年直前の基本給の6割を下回るのは不合理な待遇格差に当たると結論づけています。

再雇用者の基本給について、企業に正社員との格差是正を求める判決は全国初だと思います。
65歳までの高齢者が推進される中で、他企業の賃金格差などに影響を与える可能性があると思います。

ただ、この裁判では、定年後の再雇用の際の基本給の減額自体が違法されているわけではないことに留意が必要だと思います。

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