労働災害に伴う損害賠償請求の遅延損害金について

 労働災害の発生,業務上疾病(過労死,過労自殺を含む。)の発症に使用者の過失がある場合,被災労働者は,使用者に対して,不法行為又は安全配慮義務違反に基づく損害賠償請求をすることができます。
 このうち,上記の安全配慮義務は,労働契約に付随する義務とされています。
 したがって,安全配慮義務違反に基づく損害賠償は,使用者側の労働契約の債務不履行を理由とするものといえます。

 そして,労働者が,使用者に対して損害賠償請求を行う場合,損害賠償金とともに,遅延損害金についても使用者に請求することができます。

 遅延損害金の利率は,法定利率になります。
 この場合に,不法行為構成及び債務不履行構成も利率は,同じ民法所定の5%です。
なお,今年の4月以降に発生した事故については,改正民法の規定が適用されるため,年3%となります。

 例えば,損害賠償金が,1000万円であれば,1年間の遅延損害金は,5%であれば50万円,3%とであれば30万円となります。
 そのため,賠償額が,数千万円であり,支払われるまでに数年間かかる場合は,遅延損害金だけで,数百万円に達することもよくあります。

 ただ,不法行為構成と債務不履行構成では,遅延損害金の発生する起算日が異なりますので,注意が必要です。
 すなわち,不法行為構成の場合は,不法行為の日から遅延損害金が発生するのに対し,債務不履行構成の場合は,請求を受けた日が起算日になります。
 したがって,遅延損害金のみを考えると,不法行為構成で請求する方が有利ということになります。

 仕事上の事故など労災事故に遭われてお悩みの方は,どうぞお気軽に当事務所までご相談ください。