懇親会などの社外行事と労災について

会社の懇親会や社員旅行の事故は労災か?

労働者が会社主催の宴会や社員旅行に参加して、事故に遭った場合に、労働災害として認められるでしょうか。

今回は、このような問題について考えてみたいと思います。

津田弁護士

今回の場合、宴会や社員旅行などの事故が「業務上」といえるかが問題となります。

労災は、「業務上」の事由や通勤による働者の負傷、疾病、障害、死亡等に対して必要な給付を行う制度です。

そして、「業務上」とは、業務と傷病等との間に一定の因果関係(業務起因性)が存在する場合に認められます。

その場合に、「業務上」の判断は、

  1. 「業務」といえるか(業務遂行性)
  2. 業務「上」といえるか(業務起因性)

……の2点から判断されます。

懇親会に参加中に起きた事故についての裁判所の判例

判例では、社外行事中の事故について以下のように述べています。

「労働者が事業主主催の懇親会等の社外行事に参加することは、通常労働契約の内容となっていないから、社外行事を行うことが業務運営上緊要なものと客観的に認められ、かつ労働者に対しこれへの参加が強制されているときに限り、労働者の社会行事への参加が業務行為になると解するのが相当である」

津田弁護士

これは、会社主催の親睦や慰労などを目的とする社外行事については、原則としては、「業務上」といえないため、<社外行事の事業運営上の緊要性><参加の強制>という要件を満たさない限りは、労働災害とは認めないという立場だと思われます。

会社の飲み会から仕事に戻る途中の事故で亡くなった社員の遺族が起こした裁判でも労災が認められています。詳しくは「会社の飲み会後の事故と労災認定」の記事で解説しています。

得意先の接待中の事故は労災か?

他方で、業務と認められるようなもの、例えば、得意先との接待などについては、労働災害の対象となりうると考えられます。

労働災害などでお悩み方は、どうぞお気軽に当事務所までご相談ください。

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