百条委員会とは

百条委員会とは

「百条委員会」とは、地方議会が議決により設置する特別委員会のことです。

地方自治法の第100条には、地方議会は「自治体の事務について調査し、関係者の出頭や証言を求めたり、記録の請求ができる」とあります。この第100条に基づき、必要に応じて地方議会が議決、設置するのが「百条委員会」です。

これは、国会の国政調査権に対応するものと言われています。

そして、百条委員会とほかの委員会との最大の違いは「調査権」にあります。

議会には常任委員会や特別委員会が常設されていますが、これらの委員会に調査権までは認められていません

調査権の内容

議会に与えられた調査権の内容は、

  • 自治体の事務に関する調査を行う。
  • 調査を行うため特に必要があると認めるときに選挙人その他の関係者の出頭及び証言、並びに記録の提出を請求することができる。

となっています。

議会に与えられた強力な権限

このように百条委員会には、調査対象となっている関係者の出頭や証拠提出を求めることのできる「調査権」があり、正当な理由なく証言を拒んだりすると、禁錮や罰金が課せられる罰則規定があります

虚偽の証言を行ったときも同じです。百条委員会では、証言を二転三転させたりした場合、「偽証」に問われる可能性もあるわけです。

出頭又は記録の提出をけた選挙人その他の関係人が正当な理由がないのに議会に出頭せず、若しくは記録をしないとき、または証言を拒んだときは、6か月以下の禁錮又は10万円以下の罰則に処せられます。

この百条委員会の強力な権限は、すなわち「100条調査権」は、議会に与えられたものであり、委員会に与えられたものではありませんが、通常は、100条調査は、100条委員会と呼ばれる特別委員会を設けて実施されています。

ただし、100条委員会が権限を行使するには、地方議会の個別具体的委任が必要となります。

実際に百条委員会が設置されたケース

過去には、自治体の事務に関して疑惑や不祥事があった際、事実関係を調査するために実際に100条委員会が設けられたことがありました。

例えば、

  • リクルート事件を調査のために川崎市に設置されたケース
  • 猪瀬直樹氏が東京都知事時代に医療法人「徳洲会」グループから5000万円の資金提供を受けていた問題をめぐって調査したケース
  • 東京都の築地市場の豊洲移転を巡って、当時の石原慎太郎氏に証言を求めるために東京都が設置したケース

…などが有名です。

権限が強力であるがゆえ、運用は慎重に!

100条委員会は、衆参両院における「国政調査権」と同じ性質とも言える、非常に強力な調査権であり、自治体の事務に関する疑惑の追及などに効果的である反面、強制力を伴う調査権であることから慎重な運用も求められると思います。

神戸山手法律事務所の津田弁護士は、自治体職員として実際の行政事務に携わったエキスパートです。

神戸山手法律事務所の津田和之弁護士は、

  • 公務員として20年以上の勤務経験があります。
  • 法曹資格を有する職員として数多くの審査請求や訴訟に携わるなどの経験や実績があります。
  • 行政手続きや審査請求・行政訴訟制度などについて精通しています。

こうした経験を活かし、自治体からの相談にも数多く対応しております。

どうぞお気軽に当事務所までご相談ください。

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