生前贈与と税金

生前贈与とは、文字通り、死亡する前に自分の財産を人に分けることです。

生前贈与によって、生きているうちに、つまり相続が発生する前に相続人予定者に資産を移すことができます。
これによって将来負担すべき相続税額を少なくすることができ、有利です。それとともに、納税資金として用意すべき現金・預金も、少なくてすむようになります。
 
ただ、他方で、個人から個人へ贈与した場合には、贈与税が課せられます。
また、贈与税の税額は、一般に、相続税よりも高額であるため、生前贈与をする際には、贈与税の課税の有無を押さえておく必要があります。
 
まず、贈与税は、その年の課税価格から基礎控除額(110万円)を控除し、その残額に対して税率を乗して計算されることとなっています。
つまり、生前贈与は、贈与税の基礎控除額の110万円までであれば、贈与税は一切かかりません。
 
また、1人つき110万円以内であれば、多年にわたり、また多人数に対して贈与税を支払わずに生前贈与をすることが可能です。
 
ただ、注意をしなければいけないのは、生前贈与の額が1年間110万円を超えた場合には、その超えた額について、贈与税が課せられること(超過累進税率最高50%)、相続開始前3年以内の贈与は相続税計算時に加算されることです。
 
したがって、生前贈与により相続人予定者に対して財産を移すのであれば、1年間110万円の贈与税の基礎控除額の範囲内で、長期的かつ計画的に行うことが効果的であると思われます。
 

この記事を書いた人:津田和之弁護士

photo神戸山手法律事務所で弁護士に従事する傍ら、関西学院大学 大学院司法研究科教授も務める。また、役職として、加古川市コンプライアンス法務アドバイザー (2013年4月~)、西宮市法務アドバイザー (2015年4月~)、兵庫県児童虐待対応専門アドバイザー (2012年6月~)、加古川市審理員 (2016年4月~)、稲美町審理員(2018年5月~)、三田市オンブズパーソン (2020年4月~)