職場のセクハラ

セクハラとは、職場において行われる性的な言動に対する労働者の対応により当該労働者がその労働条件等につき、不利益を受け、または性的な言動により就業環境が害されることをいいます。

そして、労働契約法5条は、「使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする」と規定しています。
ここからわかるように、一般に使用者は、労働者に対して、職場環境配慮義務という義務を負うことになります。

そのため、セクハラやパワハラ被害に関連しては、当該行為を行った者のみならず、会社もセクハラ行為やパワハラ行為に対する職場環境配慮義務違反(債務不履行)や使用者責任(不法行為)に基づく損害賠償請求として、労働者から提起されることもありうるのです。

セクハラやパワハラ被害では、それによる損害額が多額になることは少ない(労災認定があれば別)とはいえ、会社とすれば、そのような訴えが提起されること自体が、時間と労力の喪失で大損害となります。
そこで、会社としては、セクハラやパワハラ被害の申告があったときに、どのように対応すべきかが問われることになります。

明らかな犯罪行為(強制わいせつや暴行)であれば問題がないのですが、当該行為を「違法」と評価してよいかというのは、微妙なところが多く、非常に難しいところです。

この点、セクハラの違法性の判断は、平均的人間を基準として、客観的な事情から判断されるとされています。

他方で、セクハラやパワハラ被害については、会社が責任を問われるのが嫌なため、加害者を一方的に処罰することで職場環境配慮義務を果たしたことをアピールする傾向も見受けられます。
しかし、詳細な調査なく重い処分を行うことは危険です。
加害者とされる者が反対に、会社に対して、事実無根を理由に、処分を受けたことを争ってくる可能性があるからです。

結局、会社としては、セクハラやパワハラ被害の申告があれば、勝手な心証を得る前に、できるだけ中立的な立場で被害者・加害者双方の言い分をよく聞き、調査結果に基づき、早急に対処することです。

この記事を書いた人:津田和之弁護士

photo神戸山手法律事務所で弁護士に従事する傍ら、関西学院大学 大学院司法研究科教授も務める。また、役職として、加古川市コンプライアンス法務アドバイザー (2013年4月~)、西宮市法務アドバイザー (2015年4月~)、兵庫県児童虐待対応専門アドバイザー (2012年6月~)、加古川市審理員 (2016年4月~)、稲美町審理員(2018年5月~)、三田市オンブズパーソン (2020年4月~)