示談成立後の後遺障害の請求について

交通事故の被害者になった場合に、損保会社との示談の成立後に、示談したときには予想できなかったような後遺症が残ってしまうというケースがあります。
 
今回は、このようなケースについて示談が成立していても損害賠償請求ができるかについて考えたいと思います。
 
この点、確かに示談書には、「示談内容以外の請求はすべて放棄し、互いに債権債務がないことを確認する」旨の条項が盛り込まれていますので、示談がいったん成立すると、原則としてこれを変更することはできません。
 
しかし、なかには「示談成立後に後遺症(後遺障害)が発生したときには再度協議する」旨の条項が追加されている場合がありますので、このときはあらためて協議することができます。
 
また、このような条項がないときでも、示談当時予想できなかった損害については、判例で後遺障害等の請求が認められています。
 
具体的に、判例では「交通事故による全損害を正確に把握し難い状況のもとにおいて、早急に小額の賠償金をもって満足する旨の示談がされた場合においては、示談によって被害者が放棄した損害賠償請求権は、示談当時予想していた損害についてのもののみと解すべきであって、その当時予想できなかつた不測の再手術や後遺症がその後発生した場合その損害についてまで、賠償請求権を放棄した趣旨と解するのは、当事者の合理的意思に合致するものとはいえない。」と判示されています。
 
これを読みますと、「全損害を正確に把握し難い状況」、「早急に」、「小額の賠償金」という3つの要件をすべて満たす必要があるように見えますが、必ずしもそうではないと解されています。
 
ただ、示談当時に既に生じていた損害や予測可能であった損害については、示談成立後に請求することは難しいと思われます。

だからこそ、賠償の範囲は事故直後に生じた怪我や症状といった一時的なものだけに留まっていないか、もう一度よく考えてみることが重要となります。(「交通事故の弁護士を神戸で探している方へ」のページへ

示談が成立したけれども、示談当時予想できなかった後遺障害等の損害が残ってしまった場合には、あきらめずにお近くの弁護士に相談されることをお勧めします。

神戸山手法律事務所 弁護士 津田和之 電話 078-335-5122 メール kobeyamate.law@gmail.com

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この記事を書いた人:津田和之弁護士

photo神戸山手法律事務所で弁護士に従事する傍ら、関西学院大学 大学院司法研究科教授も務める。また、役職として、加古川市コンプライアンス法務アドバイザー (2013年4月~)、西宮市法務アドバイザー (2015年4月~)、兵庫県児童虐待対応専門アドバイザー (2012年6月~)、加古川市審理員 (2016年4月~)、稲美町審理員(2018年5月~)、三田市オンブズパーソン (2020年4月~)