退職後の解雇事由の判明
労働者の退職の意思表示の後に懲戒解雇事由が判明した場合、使用者が懲戒解雇することができるのでしょうか。
例えば、退職の意思表示をしてきた労働者が、実は会社のお金を私的に使い込んでいたことが判明した場合、これは自主的な退職ではなく懲戒解雇にすべきなのではないか?という疑問が生じて来ます。

懲戒処分は労働契約が存続していることが前提で、そもそも労働契約がなかったら懲戒処分も何もありません。これが原則です。
退職届を提出後から契約終了日までの期間は懲戒解雇が可能
そのため、労働者から自主退職の意思表示として退職届が提出された後であっても、労働契約終了までの一定期間については、労働契約は存続しますので、労働契約が終了するまでの間であれば懲戒解雇を行うことも可能です。
逆に、既に労働契約が終了した後に懲戒解雇を行ってもその懲戒解雇は無効となります。
また、黙示の合意退職の承諾が認められる場合には、その後になされた懲戒解雇を法律上無意味であるとする判例もあります。
したがって、使用者としては、労働者が退職届を提出した後に懲戒解雇自由が判明した場合、
- 労働者の退職の意思表示が自主退職の意思表示であるか又は合意退職の申込であるか
- 労働契約が終了していないか
といった点を確認して懲戒解雇を行う必要があります。
退職金が支払われていないときに懲戒事由が明らかになったら退職金は支払われる?
また、退職後に、まだ退職金が支払われていない時点、懲戒事由が明らかになった場合の退職金の取扱いについても問題となることが多いです。

この点については就業規則でその取り扱いを明示しておく必要があります。
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この記事の執筆者:津田弁護士

神戸山手法律事務所で弁護士に従事する傍ら、関西学院大学 大学院司法研究科教授も務める。また、役職として、加古川市コンプライアンス法務アドバイザー (2013年4月~)、西宮市法務アドバイザー (2015年4月~)、兵庫県児童虐待対応専門アドバイザー (2012年6月~)、加古川市審理員 (2016年4月~)、稲美町審理員(2018年5月~)、三田市オンブズパーソン (2020年4月~)
津田弁護士は開業する以前、兵庫県庁にて県庁内唯一の法曹資格者として年間500件の法律相談、住民訴訟事件などの重要な訟務案件や行政不服審査法に基づく審査請求などを担当してきたという経歴を持ちます。
津田弁護士の詳細なプロフィールは神戸山手法律事務所TOPページにある「弁護士紹介 津田和之」の項目に掲載しています。
神戸山手法律事務所の津田弁護士は、理論と実践の両面で、労災問題に精通しています。
- 地方公務員の労災制度において、地方公務員災害補償基金の訴訟担当弁護士を務めていること
- 関西学院大学のロースクールで、労災保険制度を含む社会保障法や行政法の講義を担当していること
- 約20年間にわたって公務員としての勤務経験があること





