従業員の引き抜き行為

他の企業に勤務している者を当該企業から退職させ、自分の企業に雇い入れた場合、その態様によってはいわゆる「引き抜き」(ヘッドハンティング)を行ったことになります。
 
このような「引き抜き」行為は法的に許されるのでしょうか。
 
まず、従業員たる労働者は、職業選択の自由を有していますので、従前から勤務している企業よりも条件のいい就職口が見つかるなどして転職を欲したときには、退職手続きを経たうえで、自由に別の企業に就職することができるのが原則です。
 
そして、その従業員と従前勤務先であqる企業との間で、退職後も秘密保持義務を負うという特約がなければ、その企業での在職中に正当に取得した企業秘密を使用することに制限を受けることはありません。
 
したがって、単なる引き抜き行為は自由競争の範囲内であり、許容されるものといえます。
 
しかし、引き抜き行為が企業秘密を不正に取得する目的でなされたり、企業秘密の保有主体たる企業に損害を与えたりする目的で行われたりする場合には、たとえ上記の特約がなかったとしても、もはや正当な自由競争の範囲内の行為とは言えません。
 
そこで、このような場合には、不正競争防止法の不正行為に該当するものとして規制の対象となります。
このような行為をすれば、相手方から損害賠償を請求されたり、刑事罰を受ける恐れがあります。

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