労働者が行方不明の場合に採りうる措置について

労働者が突然、行方不明となった場合に、使用者としてはどのような対応を取ることができるのでしょうか。

労働者が長期間行方不明となった場合には、使用者としては、一般的に、次のような措置を取ることが考えられます。

(1) 解雇を行う場合
長期間の無断欠勤が解雇事由となっている場合には、解雇をすることが可能です。
もっとも、解雇は、使用者から労働者に対する一方的な労働契約の解約の意思表示ですので、その意思表示が労働者へ到達したときに労働契約終了の効力が生じます。

したがって、労働者の所在がわからない行方不明の場合に、懲戒解雇をするためには、解雇の意思表示の公示の方法(民法98条)で到達させなければならないことになります。

この際、労働者が行方不明であることを疎明するための資料が必要となります。

また、解雇の場合、権利の濫用等に当たらないように注意しなければなりません。
したがって、使用者としてはできる限り解雇以外の手段を持って行方不明の労働者に対処することが望ましいでしょう。

(2) 黙示の退職の意思表示と扱う場合
一定期間行方不明となったことで、労働者から黙示の退職の意思表示があったと認定できる場合は、退職と扱うことが可能です。

退職の意思表示については、法律で意思表示の方法が定まっているわけではありません。
したがって、労働者の無断欠勤が続き、行方不明となった場合、当該労働者の過去の勤務状況、行方不明となった状況、居住の状況、連絡の有無、連絡が取れなくなってからの期間等から、黙示の退職の意思表示といえるかを判断することになります。

この記事を書いた人:津田和之弁護士

photo神戸山手法律事務所で弁護士に従事する傍ら、関西学院大学 大学院司法研究科教授も務める。また、役職として、加古川市コンプライアンス法務アドバイザー (2013年4月~)、西宮市法務アドバイザー (2015年4月~)、兵庫県児童虐待対応専門アドバイザー (2012年6月~)、加古川市審理員 (2016年4月~)、稲美町審理員(2018年5月~)、三田市オンブズパーソン (2020年4月~)