交通事故と高次脳機能障害

医療の進歩により、交通事故で脳外傷を受けた被害者の方も、多くが救命されるようになりました。
しかし一方で、外見上は回復したように見えるものの、以前と同じ生活に戻れない被害者が多くいるのも事実です。

「物忘れがひどい」「攻撃的になる」「とっさの判断ができない」などの症状があらわれたら「脳外傷による高次脳機能障害」かどうか、考えてみてください。

脳外傷による高次脳機能障害とは、交通事故で脳が損傷を受けたことによりその後、一見完全に回復したように見えても、認知障害、行動障害、人格変化が起きている状態をいいます。

あたらしいことは思い出せないといった「記憶・記銘力障害」や、注意力や集中力の著しい低下が見られる「注意障害」のほかに、感情のコントロールができなくなったり、物事に興味がなくなるなどといった症状があらわれます。

事故以前に比べて、「人格が大きく変化」したような場合など、この障害を疑う必要があります。
外見上ではわかりにくいこともあり、周囲も事故との関係を見逃しやすく診断が遅れる場合があります。

高次脳機能障害事例としては、①以前は穏やかな人であったが、事故後は人が変わったように怒りっぽくなり、感情をコントロールできなくなってしまった

②事故後、自分が考えていることを滑らかに話せなくなっただけでなく、相手の話すこともなかなか理解できなくなり、仕事に支障がでるようになった

③事故後、物の置き場所を頻繁に忘れることが多くなり、新しい出来事も覚えられなくなった。そのため何度も同じことを繰り返し質問するようになった

④人に指示してもらわないと何もできなくなり、計画性のない行きあたりばったりの行動をとるようになった
などが挙げられています。

この記事を書いた人:津田和之弁護士

photo神戸山手法律事務所で弁護士に従事する傍ら、関西学院大学 大学院司法研究科教授も務める。また、役職として、加古川市コンプライアンス法務アドバイザー (2013年4月~)、西宮市法務アドバイザー (2015年4月~)、兵庫県児童虐待対応専門アドバイザー (2012年6月~)、加古川市審理員 (2016年4月~)、稲美町審理員(2018年5月~)、三田市オンブズパーソン (2020年4月~)