マタニティー・ハラスメントを巡る裁判!

妊娠を理由に降格させられたのは男女雇用機会均等法が禁じた「マタニティー・ハラスメント」に当たるとして、病院に勤務していた女性が、病院側に慰謝料など約187万円の損害賠償を求めた訴訟の差し戻し控訴審判決が広島高裁であり、高裁は、昨年10月に最高裁が示した基準に沿って「降格は違法」とし、病院に対して約175万円の支払いを命じた。

 

判決によると、女性は理学療法士で、副主任だった2008年に妊娠したところ、希望して業務の負担が軽い部署に移ったが、異動先で副主任を解かれ、月9500円の副主任手当を失いました。

 

1、2審判決は女性の請求を棄却したが、最高裁は昨年10月、妊娠・出産に伴う異動を契機にした降格は「原則違法」と初めて判断しました。

 

例外として「自由な意思に基づく本人の承諾」か「業務上必要な特段の事情」がある場合は許される、との基準を示していました。

 

その上で、本件では、女性の降格は本人の意向に反していたとし、「特段の事情」の有無については検討が不十分だとして、高裁に審理を差し戻していた。

 

差し戻し控訴審で、病院側は「異動先には主任がおり、副主任のままだと指揮命令系統が混乱する」などと主張したが、判決は「どのように混乱するのか明確ではない上、主任と副主任には序列がある」などと退けました。

そして、「降格の必要性や、特段の事情があったとはいえない」として、「病院は、使用者として女性労働者の母性を尊重し職業生活の充実の確保を果たすべき義務に違反した過失がある」と判断しました。

 

妊娠に伴うマタニティー・ハラスメントについては、妊娠・出産した派遣社員の48%の女性が経験したことがあるという結果も出ています。

 

女性が妊娠・出産することは普通のことであり、企業はそれを当たり前のことと受け入れる必要がありますし、政府も少子化の中で早急に対策を講じるべきだと考えます。

 

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