交通事故による休業損害と有給休暇

休業損害イメージ

交通事故で傷害を負って,会社を休んだ場合は,通常休んだ日の給料は支払われないため,休業損害として損害賠償請求ができます。

(交通事故の休業損害については下記の記事をご覧ください)

では,この場合に,被害者が有給休暇を取得して会社を休んだ場合に,有給休暇で休んだ日について,休業損害として賠償請求ができるでしょうか。

結論から言うと,有給休暇で休んだ日については休業損害として賠償請求できます。

そもそも,有給休暇は労働者にとって休日以外でもお金を受け取りながら仕事を休めるという権利ですから、有給休暇は財産的価値を有する権利に該当します。

事故の治療のために有給休暇を使うことになった場合には、その有給休暇の価値(具体的には、年収を365日で割って算定された1日あたりの単価×使った有給休暇の日数分)にみあう財産的損害が発生したとして、有給休暇の価値相当額を加害者に損害賠償請求できます(東京地裁平成6年10月7日交民集27巻5号1388頁)。

ちなみに、国家公務員には、有給休暇以外に病気休暇という制度がありますが(国家公務員法18条)、病気休暇についても有給休暇と同様、補償の対象とされています(名古屋地裁平成22年7月2日判時2094号87頁)。

交通事故の治療により会社の欠勤が長引いた場合、翌年度の有給休暇が減らされた場合についても下記の記事「交通事故による将来の有給休暇の喪失」で解説しています。

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