生命保険の受取人指定と相続②

今回は、この問題の2回目です。今回も事例をあげながら考えてみたいと思います。

 

Aさんは、自らを契約者兼被保険者、死亡保険金3000万円、保険金受取人を長男Bとする生命保険契約を締結していました。

その後、Aさんが亡くなり、法定相続人は長男Bと長女Cの二人です。

 

〔ケース2〕Aさんの財産は、受取人をBとする生命保険のほかは、中古マンション(時価800万円相当)のみです。この場合、Bは死亡保険金3000万円と中古マンションの持分2分の1を受け取り、Cは中古マンションの持分2分の1しかもらえないとすると、BC間に不公平が生じますが、CはBに対してどのような主張ができるのでしょうか?

 

この場合、生命保険金は相続財産ではありませんので、Cは遺留分減殺請求権をBに対して行使することはできません。

 

では、Bの受け取る保険金を特別受益として持ち戻しを求めることはできないでしょうか?

 

判例は、共同相続人の1人又は一部を受取人と指定した養老生命保険について、原則として特別受益に含めないとしつつ、おのことによって共同相続人間の不公平の程度が民法903条1項の趣旨に照らし到底是認することができないほど著しいと評価すべき特別の事情がある場合は、特別受益に準じて持ち戻しの対象となるとしています。

 

ただし、特別受益性が認められた場合であっても、被相続人が持ち戻し免除の意思表示をしているときはそれに従うことになります。

 

したがって、Aさんが持ち戻し免除の意思表示をしているか、仮に明確な意思表示をしていなくとも、諸般の事情を考慮してAさんに持ち戻しを免除する黙示の意思表示があっとと認められるのであれば、CはBに持ち戻しを求めることもできなくなります。

 

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