祭祀財産承継者について

系譜(家系図)、祭具(神棚、位牌、仏壇等)、墳墓(墓石、墓地)といった祭祀財産は、一般財産と異なり、分割承継されずに、単独承継されることになっています。

 

そして、民法897条1項は、祖先の祭祀を主宰すべき者は、第一次的には被相続人の指定によって定め、第二次的には地方の慣習によって定めると規定していますが、それでも定まらないときは、家庭裁判所の審判によって定められます。

 

最近、祭祀財産承継者が高齢の場合に承継者と認められるかについて正反対の結論を出した裁判例があります。

 

一つは、被相続人の妻と長男が争った事案ですが、被相続人の死後、被相続人の位牌等は全て被相続人の妻が管理していること、祭祀を主宰する意思の堅固性及び継続性等を考慮すると、高齢(当時92歳ぐらい)であることを考慮しても、被相続人の妻が承継者として適任であるとして、裁判所が、被相続人所有の系譜、祭具及び墳墓の承継者を妻と定めました。

 

もう一つは、被相続人の実母と被相続人の実子が争った事案ですが、裁判所は、祭祀の将来的な継続性という観点からすれば、既に高齢の実母よりも実子の方が優っているのh明らかであるとして、祭祀主宰者として長男を指定しました。

 

当事者間の年齢差が考慮されたほかに、二番目の事案では、祖母亡き後は、承継者は孫たる被相続人の実子にはならず、祖母の長男(被相続人の兄)になることも祖母を承継者と認められない理由になったようです。

 

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