夫婦別姓について

先日の新聞によれば、夫婦が、それぞれ結婚前の名字を使うことを認める「選択的夫婦別姓」について、内閣府の世論調査では、国民の間で賛否が二分しているという報道がありました。

 

具体的には、去年12月、内閣府が「選択的夫婦別姓」について世論調査を行ったところ、「夫婦は同じ名字を名乗るべきで、法改正の必要は無い」と答えた人が36.4%、「別姓を認めるよう法律を改めても構わない」と答えた人が35.5%だったということです。

 

今日は、この夫婦別姓の問題について考えてみたいと思います。

 

現在は,男女が結婚するときは,民法750条により、すべての夫婦は必ず同じ氏(「姓」や「名字」のことを法律上は「氏」と呼んでいます。以下同じ。)を名乗らなければならないことになっています。

 

夫婦別姓制度(選択的夫婦別氏制度)とは,このような夫婦は同じ氏を名乗るという現在の制度に加えて,希望する夫婦が結婚後にそれぞれの結婚前の氏を名乗ることも認めるというものです。

 

もちろん,選択的な制度ですから,すべての夫婦が別々の氏を名乗らなければならないわけではありません。

これまでどおり夫婦が同じ氏を名乗りたい場合には同じ氏を名乗ることもできますし,夫婦が別々の氏を名乗ることを希望した場合には別々の氏を名乗ることもできるようにしようという制度です。

 

このような夫婦別姓が問題となる背景としては、結婚の際に、男性の氏を選び,女性が氏を改める例が圧倒的多数の中で、女性の社会進出等に伴い,改氏による社会的な不便・不利益を指摘されてきたことなどがあります。

 

これに加えて、結婚のときに夫婦の一方が必ず氏を変えなければならないことによって,(1)代々受け継がれてきた氏を大切にしたいという感情を持つ人が増えていることから,一人っ子同士の結婚のような場合に,氏を変えることが事実上結婚の障害となったり,(2)結婚に際して氏を変えることによって,本人の同一性が確認できなくなり,職業生活上不利益を被るといった事態などが生じていることなどが夫婦別姓を望む理由として挙げられています。

 

そもそも、我が国で夫婦が同じ氏を名乗るという慣行が定着したのは,明治時代からだといわれています。明治31年に施行された戦前の民法では,戸主と家族は家の氏を名乗ることとされた結果,夫婦は同じ氏を称するという制度が採用されることとなりました。

 

そして、法務省でこれまでに検討された民法の改正案では、選択的夫婦別氏制度が導入されていましたが、国民各層に様々な意見があること等から,いずれも国会に提出するには至っていません。

 

なお、別氏夫婦を認めたときの子どもの氏は,政府の改正案では、婚姻の際に,あらかじめ子どもが名乗るべき氏を決めておくという考え方が採用されており,子どもが複数いるときは,子どもは全員同じ氏を名乗ることとされていました。

 

私は、個人的には、結婚した場合には、同じ氏にすることを原則としつつも、希望により別氏にすることを認めるような制度がいいのではないかと思っています。

 

皆さんは、この夫婦別姓制度について、どのように考えられますか?

 

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