佐藤正明「陽はまた昇る」
最近、新潮文庫から出ている佐藤正明の「陽はまた昇る」を読みました。
私は、活字中毒のところがあって、年間100冊以上小説を読んでいます。
これまで、このブログでは、読んだ本の紹介などはしていませんでしたが、これからは、いい本があれば紹介したいと思います。
この「陽はまた昇る」という本は、本の分野でいうとドキュメンタリーになると思います。
内容は、昭和から平成にかけての電機メーカーによる「VHS」と「ベータ」のビデオデッキの規格争いを描いた小説です。
若い人はご存じないかもしれませんが、ビデオデッキは、松下、日立、ビクターなどの「VHS」とソニーの「ベータ」の2つに分かれて、10年以上熾烈な規格争いをして、最終的には、VHSが勝利し、ソニーが提唱したベータは生産中止に追い込まれました。
この本では、VHSを作ったビクターの高野氏を中心に、VHSが世界基準になるまでの過程を描いています。
中でも、やはりビクターの高野氏の一企業の利益にとらわれないで、VHSを世界基準にするための互換性などの戦略や高野氏個人の人間的な魅力がなるほどと思わせるところが多かったです。
また、本の中では、松下の創業者の松下幸之助氏やソニーの創業者の井深氏や盛田氏も登場しており、これらの人物像も興味深かったですね。
ということで、600ページを超える大作ですが、この本をお薦めします。
これからも、少しずつ、お薦めの本も紹介したいと思います。