婚外子の相続の権利と最高裁について

両親が結婚しているかどうかで子どもが相続できる遺産に差を設けている民法の規定について、先日、最高裁判所の大法廷で弁論が開かれました。

 

明治時代から続く民法の規定が憲法に違反するかどうかについて、最高裁が判断を見直す可能性もあり、結論が注目されます。

民法では、結婚していない両親の子ども、いわゆる「婚外子」は、結婚している両親の子どもの半分しか遺産を相続できないと規定されています。

 

これに対し、東京と和歌山のケースで、婚外子の男女が「法の下の平等を定めた憲法に違反する」と訴えていて、10日、最高裁判所の大法廷で双方の意見を聞く弁論が開かれました。

 

婚外子側の弁護士は、「両親が結婚しているかどうかは子どもの意思とは無関係なのに差別は不当だ。事実婚の増加などで家族や結婚の価値観は変化し、規定の存在意義はすでに失われている」と述べました。

また、東京の婚外子の男性は法廷で、「子どもの頃や結婚の時に肩身の狭い思いをしてきた。差別をなくすべきだ」と訴えました。

 

これに対し、相手側の弁護士は、「法律上の結婚を尊重するための規定で合理性がある。家族や結婚について国民の意識が大きく変化したとは言えず、見直す必要はない」と述べました。

 

最高裁は、18年前の平成7年も大法廷で審理を行い、この時は「憲法に違反しない」という決定を出していますが、再び大法廷で弁論が開かれたため、これまでの判断が見直される可能性もあります。

 

最高裁は、この秋にも判断を示すとみられていて、「憲法違反」とされれば、明治時代から続く民法の規定は改正が迫られることになります。

 

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