親告罪とは

皆さんは、「親告罪」という犯罪を知っていますか?

 

ほとんどの犯罪は、告訴・告発がなくても、公訴を提起(起訴)できます。例外として、告訴がなければ公訴を提起することができない犯罪があり、このような犯罪を親告罪といいます。

親告罪とは、「告訴を公訴提起要件(訴訟条件)とする罪」です。

 

親告罪が定められている理由としては、次のようなものが挙げられます。

まず、被害者の名誉・信用・秘密等の保護です。

これは、起訴によって事実が明るみに出たり公表されることによって、被害者がさらに不利益をこうむる場合があるため。

秘密漏示罪、強姦罪、強制わいせつ罪、名誉毀損罪などは、これを理由に親告罪とされています。

 

次は、事犯の軽微性です。

これは、被害が軽微でしかも直接公益に関しない場合に被害者が処罰を望まないのに訴追をする必要はない。

過失傷害罪、器物損壊罪などが、これを理由に親告罪とされています。

 

また、「法は家庭に立ち入らない」(家庭関係の尊重)ということも挙げられます。

これは、犯人と被害者が一定の親族関係にあるとき、法によっていたずらに家庭を壊さないように、親告罪とされています。

これを理由に、親族間の犯罪に関する特例にある罪は、一般に親告罪とされています。

 

そして、親告罪の「告訴」は、単に犯罪事実の申告(被害届など)とは異なり、捜査機関に対し犯罪事実をある程度具体的に申告し、その訴追を求める意思表示のことです。

告訴権者は、親告罪とされる犯罪の被害者や、この者と特定の関係ある者、たとえば被害者の法定代理人や配偶者、直系の親族、兄弟姉妹などです。

 

告訴は、書面または口頭で検察官ま司法警員に対し、原則として、犯人を知った日から6か月以内になす必要がある(なお、電話による告訴につき争いがありますが、判例はこれを否定しています。)。

 

親告罪につき告訴なくして公訴(起訴)された場合には、公訴棄却の判決がなされます。

なお、一旦告訴をした場合は、公訴の提起(起訴)があるまでは取り消せますが、起訴された後は告訴を取り消すことはできなくなります。

 

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