生活保護と最低賃金

先日の新聞で、最低賃金で働いた場合の収入が、生活保護の給付水準を下回る逆転地域が、兵庫県など11都道府県で生じているという報道がありました。

 

これは、最低賃金で働くよりも、働かずに生活保護を受けた方が収入が多いということを意味しています。

この原因は、厚生労働省によれば、社会保険料の増加で手取り収入が減ったことなどによるそうです。

ただ、下回っている額は5~30円ですが、生活保護の給付水準が賃金より高いと国民の労働意欲をそぎかねないと思います。

 

厚生労省は、最低賃金を引き上げ、原則2年以内に逆転を解消したいとしていますが、経営者側は、賃金の増加は経営を圧迫し、雇用縮小を招きかねないと反発しているようです。

 

私は、逆転は早期に解決すべきだと思いますが、ここで注意しなければいけないのは、最低賃金があげられない場合に、安易に生活保護水準を切り下げるということはすべきではないということです。

 

生活保護の受給者の増加は、国を挙げて対策をすべきですが、最後のセーフティネットである生活保護を安易に引き下げるという選択は許されないと思います。

 

生活保護の対策には、抜本的な対策が必要であり、不正受給対策だけでなく、失業・雇用対策をはじめ生活保護になるまでの様々なセーフティネットを充実させることなどが必要ではないでしょうか。

 

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