5月2018

労災と業務上の疾病について

労災は、労働者が業務を原因として被った負傷、疾病または死亡といった労働災害及び通勤災害に対して給付されます。

今回は、労働災害のうち、「業務上の疾病」について説明します。

 

まず、業務との間に相当因果関係が認められる疾病については、労災保険給付の対象となります。

この点、「業務上の疾病」とは、労働者が事業主の支配下にある態において発症した疾病ではなく、事業主の支配下にある状態において有害因子にさらされたことによって発症した疾病をいいます。

 

例えば、労働者が就業時間中に脳出血を発症したとしても、加重な残業など、その発症原因となった業務上の理由が認められない限り、業務と疾病との間に相当因果関係は認められません。

 

一方、就業時間外における発症であっても、業務による有害因子にさらされたことによって発症したものと認められれば、業務と疾病との間に相当因果関係が成立し、業務上疾病と認められます。

 

そして、一般的に労働者に発症した疾病について、次の3要件が満たされる場合には、原則として「業務上の疾病」と認められます。

①労働の場に有害因子が存在していること

業務に内在する有害な物理的因子(粉じんなど)、化学物質、身体に過度の負担のかかる作業(加重な残業、精神的な負担なども含まれます)、病原体などの諸因子を指します。

 

②健康被害を起こしうるほどの有害因子にさらされたこと

健康被害は有害因子にさらされたことによって起こりますが、その健康被害を起こすに足りる有害因子の量、期間にさらされたことが認められなければなりません。

 

③発症の経過および病態が医学的にみて妥当であること

業務上の疾病は、労働者が業務に内在する有害因子に接触することによって起こるものなので、少なくともその有害因子にさらされた後に、発症するものでなければなりません。

しかし、業務上の疾病の中には、有害因子にさらされた後、短期間で発症するものもあれば、相当期間の潜伏期間を経て症するものもあり、発症の時期は、有害因子の性質や接触条件などによって異なることに注意が必要です。

 

なお、③の要件は、脳・心臓疾患やそれに伴う死亡(いわゆる「過労死」)が発生した場合に、これらの原因が医学的に業務による加重な負担によって発症したのかどうかという点で争われます。

業務の加重な負担による脳・心臓疾患や過労死などについては別途説明します。

 

労災など労働トラブルでお悩みの方は、どうぞお気軽に当事務所までご相談ください。

 

 

 

交通事故における家族の損害について

交通事故に遭った場合,被害者本人だけでなく,家族にも様々な影響を受けたり,損害を被ることがあります。

例えば、親族が交通事故で死亡した場合の慰謝料,入院に家族が付き添った場合の付添看護費,入院患者を見舞った場合の交通費などがあります。

 

今回は,このような交通事故の被害者の家族に対する損害賠償について,考えてみたいと思います。

まず,交通事故の「損害賠償請求権」は,被害を受けた本人に認められるものであり,通常は、家族であっても,被害者本人ではない方に,「損害賠償請求権」が発生することはありません。

 

例外として,家族自身の損害として,①家族の被害分を、本人の損害賠償請求権に上乗せできる場合,②家族固有の損害として、家族自身が損害賠償請求できる場合の、2つのパターンがあります。

ただし,②は例外的です。

 

以下で,代表的な問題について説明します。

 

1 入院の付き添い

交通事故に遭った被害者が入院中、家族が付き添った場合。
このような場合、被害者本人の損害賠償請求権に「(家族の)付添費」を上乗せで認められる場合があります。
ただし、付き添った全日分が認定されるとは限らず、付添いが必要な時期・程度が問題となる場合もあります。
また、入院先への交通費についても、上乗せできる場合があります。

 

2 通院の付き添い

交通事故に遭った本人の通院に、家族が付き添ったり、送迎した場合。
このような場合、原則として、「(家族の)付添費」は認められません。
ただし例外として,被害者本人のケガが重い場合、幼児・児童の場合には、被害者の賠償請求権に上乗せできることがあります。
その場合に,仕事を休んだ分の休業補償まで請求できるかというと、理屈上は可能性がありますが、実際の交渉ではなかなか難しいです。
なお,付添いの交通費についても、上乗せできる場合があります。

 

3 移動・宿泊の費用

被害者が遠隔地で交通事故に遭ったとき、家族が、遠隔地の病院に行ったり、付添いや諸々の手続・対応のために宿泊したことの費用。
このような費用も、被害者の状況次第では、一定程度、被害者の損害賠償請求権に上乗せできる場合があります。
ただし、客観的な必要性がさほどない場合は、上乗せできません。

 

4 固有の慰謝料

これは,上記1~3とは異なり,家族固有の損害を,家族の名前で請求するケースです。
交通事故で被害者が死亡したとき、もしくは、高度後遺障害の状態になったときに、被害者の慰謝料の他に、家族固有の慰謝料を請求できる場合があります。
ただ、示談交渉ではなかなか難しくという面と,家族というだけで当然に認められるわけでもなく,一般的には,被害者の慰謝料としてトータルで評価され、合計額が相場を超えないことが多いようです。

 

上記のような被害者の家族の被った損害については,被害者やその家族が保険会社の担当者と交渉しても認められる可能性は低く,専門家である弁護士に相談することをお勧めします。

 

 

交通事故の被害に遭って,お悩みの方はどうぞお気軽に当事務所までご相談ください。