11月2015

遺言書の効力について

先日、最高裁で、故人が赤いボールペンで全面に斜線を引いた遺言書は有効かが争われた訴訟について判決がありました。

 

結論としては、最高裁は、遺言を有効とした1審及び2審判決を覆して、故人の意思を重く見て遺言を無効とする判決を言い渡しました。

 

事案は、判決によると、広島市で開業医の男性が自筆で署名押印した遺言書を作成して、自宅兼病院の土地建物や預金など、大半の資産を息子に相続させると書き、封書に入れて金庫に保管していました。

 

男性が死亡した後に封書が見つかり、「開封しないで知り合いの弁護士に相談するか家裁に提出して公文書としてもらうこと」と付箋(ふせん)が貼ってあったのですが、封は一度開いた後にのり付けされていたうえ、中に入っていた遺言書には赤いボールペンで文書全体に左上から右下にかけて斜線が引かれていたました。

 

このため、娘が息子を相手取り、遺言書は無効だとする訴訟を起こしたとのことです。

 

民法では、どんな行為が遺言の破棄か、明文規定はない。実務では、(1)焼却(2)切断(3)内容が判別できない程度に上から消した-などの場合は「破棄にあたり無効」としてきたが、内容が判別できる斜線やバツ印などについては見解が分かれています。

 

今回、最高裁は、遺言者の自筆で赤線が引かれていたことから、「すべての効力を失わせる意思がみてとれる。遺言の破棄に該当する」と指摘し、遺言を無効と判断しました。

 

この判断は、遺言執筆時の状況などから、破棄したかどうか本人の意思をくみとることが可能な場合、その意思に沿って判断する姿勢を示したといえるでしょう。今後の実務に影響を与えると思われます。

 

自筆証書遺言の場合は、今回の場合のように、死後にその有効性が争われるケースが多く見られます。

遺言書は、遺産を巡る争いを防ぐために作成するものであると考えると、やはり、遺言書は公正証書で作成する方が確実であると思われます。

 

遺言や相続などでお悩みの方は、どうぞお気軽に当事務所までご相談ください。

 

 

マタニティー・ハラスメントを巡る裁判!

妊娠を理由に降格させられたのは男女雇用機会均等法が禁じた「マタニティー・ハラスメント」に当たるとして、病院に勤務していた女性が、病院側に慰謝料など約187万円の損害賠償を求めた訴訟の差し戻し控訴審判決が広島高裁であり、高裁は、昨年10月に最高裁が示した基準に沿って「降格は違法」とし、病院に対して約175万円の支払いを命じた。

 

判決によると、女性は理学療法士で、副主任だった2008年に妊娠したところ、希望して業務の負担が軽い部署に移ったが、異動先で副主任を解かれ、月9500円の副主任手当を失いました。

 

1、2審判決は女性の請求を棄却したが、最高裁は昨年10月、妊娠・出産に伴う異動を契機にした降格は「原則違法」と初めて判断しました。

 

例外として「自由な意思に基づく本人の承諾」か「業務上必要な特段の事情」がある場合は許される、との基準を示していました。

 

その上で、本件では、女性の降格は本人の意向に反していたとし、「特段の事情」の有無については検討が不十分だとして、高裁に審理を差し戻していた。

 

差し戻し控訴審で、病院側は「異動先には主任がおり、副主任のままだと指揮命令系統が混乱する」などと主張したが、判決は「どのように混乱するのか明確ではない上、主任と副主任には序列がある」などと退けました。

そして、「降格の必要性や、特段の事情があったとはいえない」として、「病院は、使用者として女性労働者の母性を尊重し職業生活の充実の確保を果たすべき義務に違反した過失がある」と判断しました。

 

妊娠に伴うマタニティー・ハラスメントについては、妊娠・出産した派遣社員の48%の女性が経験したことがあるという結果も出ています。

 

女性が妊娠・出産することは普通のことであり、企業はそれを当たり前のことと受け入れる必要がありますし、政府も少子化の中で早急に対策を講じるべきだと考えます。

 

労働問題などの法的なトラブルでお悩みの方はどうぞお気軽に当事務所までご相談ください。

 

 

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