7月2015

土地の「境界」紛争について③

公法上の境界である「筆界」(地番と地番の境)で境界紛争になった場合の解決方法には、法務局で行う「筆界特定制度」と裁判所で行う「筆界(境界)確定訴訟」があります。

 

今回は、前回の「筆界特定制度」に続いて、筆界(境界)確定訴訟について説明します。

 

「筆界(境界)確定訴訟」とは、読んで字の如く裁判です。

提訴できる裁判所は、相手となる被告の住所地または不動産の所在地を管轄する地方裁判所です

(係争地の固定資産税評価額の1/2が140万円以下であれば簡易裁判所)。

 

判決までには約2年程度かかるようです。

判決に不服がある場合には、高等裁判所に控訴することもできますが、一審より不利な判決が出る場合もあります。

 

「筆界特定制度」との関係では、「筆界(境界)確定訴訟」の判決が優先されます。

また判決が出されると、「筆界特定制度」は受け付けられません。

 

ただ、気を付けなければならないのは、この訴訟では、「筆界特定制度」と同様に、「所有権界」には全く関与しないということです。

つまり、この制度では、公法上の筆界は確定しても、私法上の境界である「所有権界」は確定しないということです。

このことを良く分かった上で、この制度を利用することが重要です。

 

なお、筆界(境界)確定訴訟は、裁判所での手続きですので、弁護士に依頼することをお勧めします。

 

土地の境界紛争など法的なトラブルでお悩みの方はどうぞ当事務所までお気軽にご相談ください。

 

土地の「境界」紛争について②

公法上の境界である「筆界」(地番と地番の境)で境界紛争になった場合の解決方法には、法務局で行う「筆界特定制度」と裁判所で行う「筆界(境界)確定訴訟」があります。

 

今回は、このうち、「筆界特定制度」について説明します。

 

「筆界特定制度」とは、平成17年の不動産登記法の改正によって新しくできた制度です。

法務局または地方法務局にいる筆界特定登記官が、土地の所有権登記名義人等の申請に基づいて、一筆の土地と他の土地との間の筆界について、現地の位置を特定する制度です。

この制度で、筆界が特定するまでに申請から約10ヶ月程度を要します。費用については、申請人側が負担することになります。

特徴としては、申請人または相手方が不服であったとしても、筆界が特定されるという点です。

 

 

筆界特定登記官によって特定された「筆界」について、不服がある場合には、「筆界(境界)確定訴訟」を提訴することができます。

ただ、気を付けなければならないのは、この制度は「所有権界」には全く関与しないということです。

つまり、この制度では、公法上の筆界は確定しても、私法上の境界である「所有権界」は確定しないということです。

このことを良く分かった上で、この制度を利用することが重要です。

土地の境界紛争などの法的なトラブルでお悩みの方は、どうぞお気軽に当事務所までご相談ください。

 

土地の「境界」紛争について①

これから何回かに分けて、土地の「境界」紛争の解決についてお話したいと思います。

 

以前にこのブログに書いたように、土地の境界は、公法上の境界である「筆界」(地番と地番の境)と私法上の境界である「所有権界」に大きく2つに分けることができます。

 

そして、筆界と所有権界で、紛争解決の方法が違ってきます。

 

まず、「筆界」で境界紛争となった場合の解決方法には、法務局で行う「筆界特定制度」と裁判所で行う「筆界(境界)確定訴訟」があります。

次に、「所有権界」で境界紛争となってしまった場合には、「所有権(境界)確認訴訟」と「裁判外境界紛争解決制度(ADR)」がありますが、これ以外にも「民事調停」や「話し合い」といった解決方法もあります。

 

このように、土地の境界が紛争であっても、「筆界」でもめているのか、「所有権界」でもめているかについてで、解決の方法が全く違ってきます。

いずれが問題となっているかがわからない場合は、弁護士か土地家屋調査士に相談することをお勧めします。

 

次回は、法務局での「筆界特定制度」について説明したいと思います。

 

土地の境界紛争など法的なトラブルでお悩みの方は、どうぞお気軽に当事務所までご相談ください。

 

 

土地の「境界」について

土地の「境界」を大きく分けると、公法上の「境界」と、私法上の「境界」に分けることができます。

公法上の「境界」には、「筆界」や「行政界」があります。私法上の「境界」には、「所有権界」や「占有界」等があります。

今回は、公法上の境界「筆界」と私法上の境界「所有権界」について見ていきたいと思います。

 

「筆界」とは、一筆毎に付した地番と地番の境のことです。

法務局で取り扱っている「境界」は、全て「筆界」です。土地の登記簿に載っている地積は、筆界で区画された一筆の土地の面積です。法務局にある地図や公図(地図に準ずる図面)、地積測量図に表されている境界線も、全て「筆界」です。

また、「一筆」とは、一つ(の土地)という意味です。土地を数える時の単位が「筆」です)。

 

「筆界」は、地租など課税国家の財政基盤を確立するための課税単位として、公的、行政的に形成されてきたものなので、個人が自由に変更できるものではありません。

例え個人間で合意したとしても、筆界を変更することは出来ません。筆界が出来た時点において、客観的に固定して動かないものとされています。

 

「筆界」を新たに形成できるのは、裁判所の確定判決と、法務局の登記官が行う分筆、合筆だけです。

 

これに対して、「所有権界」とは、所有権と所有権の境のことで、隣接地の所有者間で合意された境界線です。私たちが一般に「境界」と言っているのは、「所有権界」のことです。

「所有権界」は、当事者が自由に決定し、処分できます。隣接する土地所有者同士が話し合って変更することができます。

 

公法上の境界「筆界」と私法上の境界「所有権界」は、元々一致していたもので、現在も一致している場合が多いと言えますが、一筆の土地の一部を売買したにも関わらず、分・合筆登記がされていないとか、土地の一部が時効取得されたとかで、「筆界」と「所有権界」が一致しなくなってしまった土地があります。

このような土地は、将来、境界紛争になる可能性を秘めた土地です。境界紛争を未然に防ぐためには、過去の経緯を知っている人が元気なうちに、「筆界」と「所有権界」を一致させる必要があります。

 

土地の「境界」などの紛争でお悩みの方は、どうぞお気軽に当事務所までご相談ください。

 

 

遺言控除の新設!?

先日のニュースで、政府・与党が、有効な遺言による相続を条件に、一定額を相続税の基礎控除額に上乗せして控除する「遺言控除」を新設する方針を固めたとの報道がありました。

 

これは、遺言を普及させて遺産相続をめぐる紛争を抑止し、若い世代へのスムーズな資産移転を図るほか、在宅介護の促進などを狙っており、早ければ平成29年度税制改正での実施を目指すということです。

 

現在の相続税は、遺産総額から基礎控除額(今年1月から3千万円+法定相続人1人当たり600万円)を差し引いた上で税率をかけて算出されます。

今年から相続税の基礎控除額が下げられたため、今後は、都市部で不動産などを相続する方が相続税の納税義務を負うことになると予想されています。

 

こうした中で、遺言控除が新設されれば、税金のかからない遺産が増えることとなります。

制度設計は今後詰めるようですが、控除額は数百万円を軸に検討するとされています。

仮に300万円の遺言控除であれば、相続財産により異なりますが、30万~165万円の減税となると予想されます。

 

現在、相続税の課税対象のうち、遺言を残した案件は2~3割程度にとどまっている一方で、遺産を巡る紛争は増加しています。

また、一旦紛争になると、解決のために多大なコストと時間がかさむこととなります。

 

このような制度ができて、遺言を書く方が増えれば、相続を巡る争いも減ると思われます。

 

遺言や相続を巡るトラブルなどでお悩みの方はどうぞ当事務所までお気軽にご相談ください。

 

介護施設での転倒事故について

最近、介護施設内や送迎中に、利用者である高齢者が転倒して骨折するなどの事故が増加しています。

 

まず、介護施設において発生した転倒事故によって生じた損害について、どんな場合でも介護施設側に賠償責任を問うことができるとは限りません。

 

介護施設に、賠償責任を問うことができるのは、「転倒事故につき、介護施設側に責任がある」といえる場合なのです。
責任があるとは、介護施設側に「故意または過失」がある場合です。
おおよそ、故意とは「わざと」過失とは「不注意」という意味ですから、施設側が「わざと」または「不注意」で施設利用者に傷害を負わせた場合に賠償責任が生じるということになります。

 

具体例を挙げ説明しますと、例えば単独では歩行が困難な利用者が、「施設の床が濡れて滑りやすくなっていたのに職員が放置していたため、滑って転倒して怪我をしてしまった」「介護中に介護者が階段の段差に気付かなかったため、利用者が転倒してしまった」などの場合には、施設側に責任があるといえるでしょう。

 

これに対して、「利用者が突然予測できない行動を採った結果、転倒して怪我をした」ような場合には、施設側に故意も過失も認められないことがあり、そうなると施設側に賠償責任は生じません。

 

しかし、高齢者の場合、足腰が弱くなっており、ふとしたことで転倒することは十分に予想されます。そのため、施設側はそれを想定した安全配慮義務を負っており、予測できなかったとか不可抗力であるという施設側の主張はなかなか認められないと思います。

 

ただ、施設側の責任によって事故が起こったといえる場合でも利用者側にも「落ち度」が有る場合には、全額の賠償責任は認められない、いわゆる過失相殺されることもあります。

 

多くの施設は、このような事故に備えて保険に加入しているのですが、実際に事故が起こった場合には、治療費と見舞金程度で済ませようとする傾向が多く見受けられます。

 

私が実際に受任したケースでも、骨折して後遺症が残っていた場合に、施設側からは治療費と数万円の見舞金が提示されたのですが、弁護士が介入した結果、最終的には500万円程度の賠償金が獲得できたケースがあります。

 

また、施設内での事故の場合、事故の態様や原因の把握、事故後と対応、利用者の素因、保険など複雑な要素が絡んでくることがありますし、そもそも施設との契約の中に賠償責任についての特約が含まれている場合も考えられます。

 

介護施設内や送迎中に、転倒して骨折する事故などが発生した場合には、まずは弁護士に相談することをお勧めします。

 

法的なトラブルでお悩みの方は、どうぞお気軽に当事務所までご相談ください。

 

成年後見と任意後見について

近年、長寿社会を迎えて、高齢化に伴い判断能力が低下する高齢者が増加しています。

こうした中で、今回は、「成年後見」と「任意後見」について説明したいと思います。

 

まず、成年後見制度は、判断能力が低下した人の権利を守るための制度です。

判断能力の程度に応じて、後見、補佐、補助の制度がありますが、ここでは判断能力を欠く場合に認められる「後見」に絞って説明します。

 

成年後見制度は、判断能力を欠いた本人を守るための制度ですので①民事上の契約行為が制限されます。

例えば、預金の解約や払い戻し、施設の入所契約、家の売却などの契約行為は本人1人ではできず、成年後見人が本人に代わってすることになります。もっとも、日常生活に必要な物品の購入は本人1人でもできます。

 

②医師、弁護士などの一定の国家資格についても成年被後見人は登録できません。他人の生命・身体・財産に関わる高度な判断能力が要求されるからです。

ほかにも③株式会社の取締役などへの就任④公務員への就任-なども制限されます。

 

成年後見は、本人、親族や利害関係人が家庭裁判所に申立てて、家庭裁判所の決定により開始されます。

 

次に、任意後見制度ですが、任意後見は、自分の判断能力が不十分になったときに備えて、あらかじめ弁護士などと契約して、自己の生活、財産管理、療養看護に関する事務を委託しておく制度です。

 

例えば、身寄りのない人が、将来認知症になったときなどに備えて契約しておき、預金などの管理や施設入所に関する権限を付与しておくといった形で利用されます。
利用のためには、公正証書によって任意後見契約書を作り、具体的な事務を委任します。

 

判断能力の低下後、家庭裁判所に対し、任意後見監督人の選任請求を行うことによって、任意後見が開始されます。

 

成年後見(法定後見)と比べた場合、①任意後見に付与する権限の範囲を本人が決められる②本人の利益のため特に必要がない限り、成年後見が開始されない③任意後見には契約の取り消し権などがない-などの違いが挙げられます。

 

成年後見など法的な問題でお悩みの方はどうぞお気軽に当事務所までご相談ください。

 

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