3月2015

不当解雇の金銭的解決制度の導入!?

先日、政府の規制改革会議が、裁判で不当と認められた解雇を、金銭補償で解決する制度の導入をめざす意見書をまとめたとの報道がありました。

 

内容は、解雇された労働者から申し立てがある場合だけに適用する制度として、不当解雇をめぐるルールを明確にし、労働者が泣き寝入りを迫られる事態を防ぐとともに。経営者側も労働紛争の決着を見通しやすくなるをめらいとしているようです。

 

したがって、この解決金制度は、裁判で不当解雇と認められたとき、労働者が職場に戻るかわりに、法律で定められた一定額の補償金を使用者から払い、雇用関係を解消する仕組みといえます。

 

規制改革会議は、意見書で「金銭解決の選択肢を労働者に明示的に付与し、選択肢の多様化を検討すべきだ」と提起しています。

一方で、不当解雇と認められたなら職場に復帰したい、という労働者もいるので、あくまで「労働者側からの申し立てのみ認めるべきだ」と強調しています。

 

解雇ルールは現在、労働契約法16条で「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を乱用したものとして、無効とする」と定められています。

 

そして、判例によれば、整理解雇が認められるのは、いわゆる「4条件」を満たすケースに限定されています。

まず、人員削減をしなければ会社の存続が難しくなるということ、解雇を避けるため、役員や従業員の報酬を減らすなど努力を尽くしたこと、解雇対象者の人選が妥当であること、本人への説明などの手続きが適正であることという条件です。

 

解決金制度は裁判でこれらを争い、不当解雇と認められた後の手続きになりますので、4条件が変わるわけではありません。

このような制度の導入が検討されるのは、現実には裁判後に職場に復帰するより、金銭補償による和解で解決しているケースが多いとみられることが背景にあると思われます。

 

私は、この意見書がお金さえ払えば、いつでも労働者を解雇できるというような風潮につながることを危惧します。

 

不当解雇など労働トラブルでお悩みの方は、どうぞお気軽に当事務所までご相談ください。

 

三上延「ビブリア古書堂の事件手帖2」

「ビブリア古書堂の事件手帖2」を読みました。

 

この作家は、このシリーズで有名になった作家で、このシリーズは昨年剛力彩芽の主演でドラマ化されました。

 

古本屋を舞台に、本にまつわる謎を解き明かしながら、人と人の絆をつなぐ女店主を主人公とした推理小説です。

 

昨年にシリーズの1冊目を読んで、今回が2冊目ですが、なかなかおもしろいので、続きも読もうと思っています。

 

気軽に電車の中などで読むのにはお薦めの本ですね。

 

 

弁護士法23条の照会と回答拒否の損害賠償について

弁護士会照会制度とは、弁護士法第23条の2に基づき、弁護士会が、官公庁や企業などの団体に対して必要事項を調査・照会する制度です。

 

これは、弁護士が、依頼者の委任を受けて紛争を解決しようとするとき、事実を立証するための資料を収集することは不可欠である一方で、資料は必ずしも、依頼者が持っているとは限らないので、資料を有していると考えられる官公庁や企業などの団体に対して、必要事項を照会することが必要となることがあることから、弁護士の職務の公共性から、情報収集のために設けられたものです。

 

弁護士がこの弁護士照会制度を利用するためには、所属の弁護士会に申し出て、審査を受ける必要があり、官公庁や企業等の紹介は所属する弁護士会が行うこととなります。

この照会について、官公庁や企業等は回答する義務があるとされています。

 

最近、民事訴訟の和解金を支払わない債務者の転居先について、日本郵便(旧郵便事業会社)が不当に照会を拒否したとして、愛知県弁護士会が約30万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が名古屋高裁でありました。

 

名古屋高裁の判決では、「転居先照会は一律に応じないと決めて、漫然と回答を拒絶した」と批判して、請求を棄却した一審名古屋地裁判決を変更し、同社に1万円の損害賠償を命じました。
これまで、日本郵便は転居先の問い合わせに一切応じておらず、照会拒否に関し、同社の賠償責任を認めた判決は初めてのものです。

 

名古屋高裁は、判決で、弁護士会照会について「紛争を適正に解決するための公益目的の制度」と指摘して、「財産差し押さえには住所を知る必要性が高く、日本郵便の報告義務は守秘義務を上回る」と認定しました。

 

日本郵政側は、制度が悪用されれば転居者の不利益になるなどと主張しましたが、裁判長は「悪用防止は弁護士会が対処すべき問題だ」と退けています。

 

弁護士照会制度は、弁護士の職務の公共性から認められたものであり、この判決は妥当であると思います。

 

横山秀夫「真相」

作家の横山秀夫の「真相」を読みました。

この作家は、「半落ち」や「クライマーズ・ハイ」などで有名な作家ですね。

この本は、短編集ですが、いずれも事件の奥に隠された事実をもとに、人の心理や心情を描いた小説の短編集です。

 

いずれも読み応えがあり、おもしろかっtですね。

短編集なので、1つずつ手軽に読めるのもいいと思います。

 

皆さんにお勧めしますので、興味のある方は読まれてはいかがでしょうか。

 

松江と出雲大社!!

先日、仕事の関係で、1泊2日で松江と出雲大社に行ってきました。

松江に行くのは、約10年ぶりだと思いますが、今回ゆっくりできたような気がします。

 

松江城は、天守閣が現存するお城で、あまり整備がされていないところがいいですね。

また城のお濠を遊覧船で回りましたが、時間がゆっくり過ぎてよかったです。

 

また、松江は魚も酒も美味しいですね。

できれば、年に一度ぐらい行きたいなあ…。

 

池井戸潤「仇敵」

作家の池井戸潤の「仇敵」を読みました。

この作家は、「半沢直樹」、「ルーズベルトゲーム」のテレビドラマ化などもあり、現在、最も人気のある作家の一人ですね。

 

この作品も、半沢直樹シリーズと同じように、銀行を舞台とした銀行員の物語です。

いわれなき罪を着せられて銀行を辞めた主人公がかつての銀行の幹部の不正を暴くというストーリーです。

 

痛快で、とても読みやすくて面白い小説だと思います。

ただ、私は池井戸潤の小説は、談合を描いた「鉄の骨」、自動車のリコール隠しを描いた「空飛ぶタイヤ」や中小企業の挑戦を描いた「下町ロケット」などの骨太のものが好きです。

 

この本は読みやすくておもしろいので、皆さんにお勧めします!!

 

職場でのセクハラ発言と懲戒処分

先日、最高裁で、セクハラ発言を職場で繰り返した社員に対し、出勤停止などの重い処分をすることの是非が争われた裁判で、ことばによるセクハラで会社が懲戒処分をしたのは妥当だとする判決の言い渡しがあったという報道がありました。

 

この裁判は、管理職だった男性社員2人が部下の女性社員に対し、職場でセクハラ発言を繰り返したとして会社から出勤停止の懲戒処分を受け、一般職に降格させられたことについて「発言は日常的な会話の範囲内で体に触るセクハラをしたわけではない」と主張して会社に処分の取り消しなどを求めていたものです。

 

1審は「社会通念上、処分は妥当だ」としたのに対し、2審は「女性が男性に直接明確な抗議をしていないうえ、男性にも嫌がらせの意図があったとは言えず重すぎる」として処分を取り消していました。
この裁判で最高裁は、男性側の主張を認めた2審を取り消し、ことばによるセクハラで会社が懲戒処分をしたのは妥当だとする判決を言い渡しました。

 

今回の裁判を起こした男性は、職場でのセクハラ発言を理由に、勤務する会社から出勤停止の懲戒処分を受け、管理職から一般職に降格させられました。
このうち出勤停止30日の懲戒処分を受けた男性は、女性社員と2人きりのときに自分の浮気相手との性的な関係について一方的に聞かせたほか、「夫婦はもう何年もセックスレスやねん」などと話したとされています。また、職場を訪れた女性客について、「好みの人がいたなあ」と性の対象とするような発言もしたということです。

 

職場での上司による発言ということを考えると、妥当な判決のような気がします。

 

厚生労働省はことばのセクハラとして性的な事実関係を尋ねること、性的な冗談やからかい、食事やデートへの執ような誘い、個人的な性的体験談を話すことなどを挙げています。

「早く結婚した方がいい」などの発言だけでなく、職場の人などに対して「○○ちゃん」と呼んだり、「男の子、女の子」、「おじさん、おばさん」などと人格を認めないような呼び方をするのもセクハラに当たるとされています。

 

また、厚生労働省は、事業主に対して、就業規則などにセクハラに対する方針を明示することや、相談窓口を設けることなどを義務づけており、事業主は、労働者からセクハラの訴えがあった場合には適切に対応する必要があります。

 

近年、女性の社会進出や地位の向上に伴い、セクハラを巡る紛争は急増しているように思えます。

 

セクハラ、パワハラなど職場の労働問題でお悩みの方は、お気軽に当事務所までご相談ください。

 

 

三上延「ビブリア古書堂の事件手帖3」

作家の三上延の「ビブリア古書堂の事件手帖3」を読みました。

この本は、シリーズの第三作目ですね。

古本屋の女性店主と店員、それと客を巡って人と古本との絆や本にまつわる謎解きなどを描いた小説です。

 

この作家の本はこのシリーズしか読んだことはないのですが、読みやすくておもしろいと思います。

 

本の好きな人にはおもしろいと思いますので、お薦めします!

固定残業代について

企業の求人で、ときどき、「月給○○円(ただし固定残業代を含む)という求人広告を見かけるとともに、実際にこのような運用を企業もあります。

 

今日は、企業の「固定残業代」について考えてみたいと思います。

 

まず、「固定残業代」とはどのようなものなのでしょうか。

労働者が1日8時間を超えて働くと、その時間分は残業代として、使用者が割増賃金を支払う必要があります(労働基準法37条)。

 

ただ、時間外労働が日常的になっている職場や営業など時間管理が難しい職種においては、割増賃金を計算する手間を避けて、使用者側の労務管理を簡単にするためのものとして、「固定残業代」という方法が存在します。

 

一定の割増賃金を、あらかじめ基本給に組み込んで支給する方法や、基本給とは別に「手当」という形で支給する方法があります。どちらも「固定残業代」という形をとっているという点では同じです。

 

では、このような「固定残業代」は適法なのでしょうか。

 

積極的にこの制度を認める法律の規定はありませんが、判例では認められているものもあります。以下が、判例が示す条件です。

 

1 基本給のうち、通常の労働時間の賃金に当たる部分と割増賃金に当たる部分が明確に区別されて合意されていること

2 労働基準法で決められた計算方法による割増賃金の額が、「固定残業代」の額を上回るときは、その差額を支払うことが合意されていること

3 実際に時間外の労働をした場合は、差額賃金が支払われていること

 

すなわち、あらかじめ決められた時間について、残業代を固定すること自体は「違法」とはいえませんが、その決めた時間を上回る仕事を労働者が行っている場合は、その時間分についての残業代を、法律にしたがって支払う必要があるということです。

 

しかし、実際には、この判例が示したルールは守られていないというのが現実です。

そもそも、使用者と労働者の間で、上記条件1の内容について、合意がない場合がほとんどだと思われます。

 

判例が示した基準を守ろうとすれば、結局、企業は労働者の働いた時間を正確に管理する必要がありますし、そもそも正しい運用に従うなら、「固定残業代」制度を用いるメリットはあまり大きくないと思われます。

そして、このルールに従わず、働いた時間にかかわらず残業代を少なめに固定するのは、明確に法律違反となります。

 

「固定残業代」という名称は、あたかも「何時間働いても残業代を一定にする」ものであるという誤解を与えがちである反面、この制度が企業の「残業代逃れ」の手口として、いまも使われているという面があるのも事実です。

 

不当解雇や残業代未払いなど労働トラブルでお悩みの方は、どうぞお気軽に当事務所までご相談ください。