交通事故による将来の有給休暇の喪失

交通事故の治療により会社の欠勤が長引いた場合、翌年度の有給休暇が減らされることがあります。
具体的にいいますと、労働基準法39条1項は全労働日の8割の出勤率を維持した労働者に対して有給休暇を与えることを義務としています。

したがって、事故により欠勤が続き、8割の出勤率を維持できなかった場合、その方の翌年の有給休暇はなくなってしまいます。

このような場合、事故がなければ出勤率を維持できたわけですから、有給休暇を取得できたはずです。
このような有給休暇の喪失分は損害として加害者側に請求することができるでしょうか。

裁判例の多くは、将来の有給休暇喪失分を休業日数と同視して損害を計算しています。
この場合に、有給休暇の喪失がそれ自体休業損害であると考えるもの、または財産的価値を有するものであると考えるものなどの考え方の違いはありますが、算出される損害額についてはどちらも違いはありません。

また、有給休暇については、将来の喪失分に限らず、事故の治療のために有給休暇を取得した場合も裁判例は損害の計算の基礎となるとしています。

長期休業に伴って賞与を減額された場合、その分の損失は
休業損害として認められるかどうかを下記の記事で解説しています。

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