離婚と住宅ローン①~不動産の価値がローン額を超える場合

結婚して、住宅ローンを組んで自宅を持つ、というのは多くの夫婦が経験していることでしょう。
しかし、離婚時には、この住宅の処理をめぐって協議が難航する場面をよく目にします。

なぜこの問題が難しいかといえば、住宅の場合には、夫婦ともに所有名義を持っていたり、夫婦ともに債務を負っていることが多いからです。
住宅を購入する場合、夫が自分名義でローンを組み、自分名義で所有権登記を行う、というケースもあるでしょう。

これに対し、所有権を夫婦で2分の1ずつ共有名義にしている場合もあります。
ローンについても、夫婦ともにローン契約を締結している場合や、夫の住宅ローンを妻が連帯保証している場合もあります。
こういった場合、離婚しても所有名義や債務、保証人が自動的に解消されることはありませんので、その点をはっきりと処理する必要があるのです。

では、法律上、このような場合の財産分与はどのように扱われているのでしょうか。
実は、ローン付き住宅に関する処理の方法は、住宅の現在の価値と、現在のローン残額との関係によって、大きく2つに分けて考えなければなりません。

1つ目は、住宅の価値(今、売却したらいくらの値がつくか)が、ローン残額を上回っている場合です。

2つ目は、反対に、ローン残額が住宅の価値を超えており、いわゆるオーバーローンの場合です。

それぞれ、処理の方法が大きく異なりますので、順番に解説していきますが、今回は、1つの目のケースについて解説します。

Ⅰ 住宅の価値 > ローン残額 の場合

たとえば、今、自宅を売却すれば2000万円で売れるのに対し、ローン残額が1000万円であるとします。
この場合、住宅の価値がローン残額を上回っていますから、もし自宅を売却してローンを返済すれば、手元に800万円の現金が残ります。

そうすると、この住宅には、現在1000万円分の価値があると考えることができます。
あとは、この住宅が1000万円分価値があるとして、原則として2分の1ずつ分配すればいいのです。

分配方法する具体的な方法は、たとえば、住宅を売ってしまうという方法があります。
この場合、売却してローンを完済し、現金1000万円を2人で500万円ずつ受け取れることになります。

では、自宅を手放さず、維持してどちらかが住み続ける場合にはどうなるのでしょうか。
たとえば、離婚後も夫が住み続ける場合を考えると、夫は、1000万円の価値がある自宅を1人で利用できることになります。そうすると、普通は所有権の名義も夫1人のものにするでしょう。

しかし、本来はこの自宅の価値は半分ずつ夫婦が取得できますので、夫は、妻に対し、500万円分を支払わなければなりません。

夫にお金がない、という場合にはその金額を受け取ることが難しくなりますので、分割払いをして公正証書を作成するなど、お金を確保する方法を考えなければなりません。

この場合には、住宅ローンも残り続けることになりますが、もし夫がローンを滞納して自宅が競売にかけられたとしても、結局、売り値の方がローンより高くなりますので、妻に支払いの請求が来る可能性は低いといえます。

これが自宅の価値がローン残額よりも高い場合の処理方法です。