約8年間の別居後、有責配偶者である夫から離婚訴訟を提起された事例

今回は、私が担当した有責配偶者である夫からの離婚請求訴訟について紹介したいと思います。

まず、このケースでは、妻が依頼者であり、10年前に、夫の不貞などによりうつ病を発症し、現在も通院中でした。

約8年前に夫が一方的に自宅を出て、妻と子ども3人を置いて別居しているという状態で、夫による婚姻費用の負担はありました。

子どもは、長男は大学卒業して就職、次男は大学3年生、長女は高校3年生。

夫から、離婚の申出があり、離婚条件について協議しましたが、話し合いがつかなかったため、夫より離婚調停の申立てがありました。

離婚調停では、有責配偶者であることを前提として協議をしたい旨を申し立てたところ、夫側が拒否し、調停不成立となりました。

その後、夫側から離婚訴訟の提起があり、これに対して、妻からは有責配偶者の離婚請求であることを理由に棄却判決を求めるとともに、予備的に離婚の成立が認められる場合には、①子どもらの親権者を妻とすること、②大学卒業までの学費及び養育費の支払い、③慰謝料、④財産分与、⑤年金分割を行うように求めました。

夫側は、不貞行為は認めたものの1回限りであること、不貞行為とうつ病との間の因果関係がないこと、親権者は夫とすること、マンションはオーバーローンであり、別居時の預金などはほとんどなく、財産分与をすべき財産がないことなどの主張がありました。

こちら側は、結婚時からの詳細な時系列やそれを裏付ける資料、過去の病院のカルテなどをもとに、夫が有責配偶者であり、不貞とうつ病には因果関係があること、現在もうつ病などで、十分に就労できず、離婚した場合に、経済的に困窮することなるので、扶養的財産分与などその手当が必要であることなどを過去の裁判例なども挙げて丁寧な主張を行いました。

その結果、
①子どもの親権は、夫とする一方で、監護権者は相談者である妻とすること
②子どもが大学卒業するまでの養育費と学費を支払うこと
③慰謝料として夫が300万円支払うこと
④長女が大学卒業するまで、相談者である妻が無償でマンションに住み続けることを認めるとともに、その間の光熱水費を夫が負担すること
⑤長女が大学卒業後、子どもらが望むのであれば、夫は引き続き相談者である妻がマンションに住み続けることを認めること
⑥妻がマンションを退去する場合は、夫は退去費として150万円を支払うこと

⑦年金分割の割合は0.5とすること

という内容で和解が成立しました。

今回の事件では、相談者である妻がうつ病であり、精神的に不安定で、裁判所での尋問となった場合には精神的には耐えられない可能性があり、何とか和解で解決したいという思いがありました。

裁判官は、当初、こちらが有責配偶者であることを主張することに対して、どちらかと言えば、冷淡でしたが、証拠に基づいて丁寧に事実を一つ一つ積み上げていった結果、最終的には裁判官が夫側を強く説得してくれるようになりました。

結果としては、過去の裁判例と比較しても、十分に満足できる内容で和解が出来たと考えています。

裁判において、夫が有責配偶者であることや相談者である妻が十分に就労できず、生計維持が困難であることなどを証拠に基づいて丁寧に事実を一つ一つ積み上げて主張したことが、裁判官を動かし、夫側を追い込み、こちらに有利な和解につながったと思います。