養子縁組と相続

民法の規定では、法定相続人は配偶者と子どもが第一順位、直系尊属が第二順位、兄弟姉妹が第三順位となっています。

例えば、被相続人(父)には、長男と長女、次女がいて、既に母が死亡し、父が長男夫婦(子どもなし)と同居していた場合を想定します。
そして、このケースで、長男が先に死亡し、長男の嫁がそのまま義父と同居して、寝たきりとなった義父の介護をずっとしていたとしても、義父が死亡した場合、相続人は長女と次女であり、長男の嫁には相続権がありません。

このようなケースでは、最悪の場合、長男の嫁は、長年、義父の介護をしてきたにもかかわらず、何も相続できず、住んでいた家からも追われる可能性があります。

では、このようなケースで、父が長年自分の面倒みてきれた長男の嫁に遺産を相続させたいと思ったらどうすれば良いでしょうか。

一つの方法は、遺言を書くということです。

もう一つの方法として、今日のテーマである養子縁組をするという方法があります。
これは、義父と長男の嫁と間で、養子縁組をするということです。
養子は、法律上血族と同様に扱われ、嫡出子の身分を取得します。
これを「法定血族」といい、養子にもらった子どもは実子と同じく相続人になることができ、さらに相続分も実子と同じになります。

したがって、上記のケースでは、長男の嫁を養子にした場合、法定相続は、長男の嫁、長女、次女の1/3ずつとなります。

なお、養子縁組は、相続税の対策のために行われることもあります。
相続税には、非課税限度枠があり、「5000万円+1000万円×法定相続人の数」までであれば税金がかかりません。

そして、養子は、税法上、実子がある場合は1人まで、実子がいない場合は2人まで法定相続人の数としてカウントできますので、養子縁組には、節税効果という面もあります。

また、孫と養子縁組をする人もいます。

これは、孫を養子にすると、子どもを飛ばして、孫に直接相続させることができるので、相続税の徴収が本来2回かかるものを1回で済ませるという税法上のメリットがあります。

なお、養子縁組をすると、もとの実親との縁が切れるかのようなイメージですが、普通の養子縁組では、実親との親子関係は残ったままです。
したがって、養子は実親と養親との両方から相続することになります。

神戸山手法律事務所 弁護士 津田和之 電話 078-335-5122 メール kobeyamate.law@gmail.com

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