自筆証書遺言について

遺言には、大きくは自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言があります。
 
今回は、このうち、自筆証書遺言について考えてみたいと思います。
 
自筆証書遺言は、 最も容易な遺言方式で、それ自体には特に費用も要しない遺言です。
 
では、自筆証書遺言に必要不可欠な条件はあるのでしょうか。
民法では、「自筆証書によって遺言をするには、遺言者が、その全文、日付及び氏名を自書し、これに印を押さなければならない。」(968条1項)と規定しています。
 
自筆証書遺言の条件としては、まず、「自分で全文を書くこと」があげられます。
 
したがって、誰かに代わって書いてもらう「代筆」もワープロ文書も無効となります。
特に、ワープロ文書などは偽造変造がしやすいということで認めれていませんので、注意が必要です。
 
次に、必ず平成○○年4月1日などと、日付をはっきりと書くことです。
日付がないものも無効となります。
 
例えば、「結婚記念日に際して」、「4月吉日」などと書いても無効となるので注意が必要です。
これは、遺言は新しいものほど有効となるため、日付がはっきりとしないと、どちらが後で書いた新しい遺言かがわからなくなるからです。
 
3番目は、自分の名前を必ず、フルネームで明記することです。
 
4番目は、印を押すことです。
実印でなくても印が押してあれば構いません。
 
それから、自筆証書遺言で、面倒なのは、訂正の方法です。
これは民法968条2項に規定があり、はっきりとその箇所を指定して訂正し、「訂正何字加入何字」ときちっと書いて、書いたうえに判を押して直すということが必要となります。
 
このような事務作業に慣れていない方は、訂正がある場合は書き直した方が安全だと思います。
 
最後に、自筆遺言の場合は、亡くなったときに、すぐに開封することはできませんので注意が必要です。
死後に遺言が見つかった場合は、相続人が家庭裁判所に出向き、裁判所が開封して、そして検認という判を押し、はじめてその自筆証書遺言が確認されます。
 
このように、自筆証書遺言は、書く方は比較的簡単でも、亡くなったあとになって、まわりの人には検認手続きという面倒がかかることとなります。
 
ただ、自筆証書遺言は、公正証書遺言よりも費用は安く、簡単に書けること、遺言を書いた事実やその内容を秘密にできるなどの大きなメリットがあります。
特に、遺産がそんなに多くない場合に、自分の人生のエンディングノートととして書くのにはお勧めかもしれません。

神戸山手法律事務所 弁護士 津田和之 電話 078-335-5122 メール kobeyamate.law@gmail.com

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