法律上の親子関係とDNA鑑定

DNA鑑定で血縁関係が否定された場合に法律上の父子関係を取り消せるかが争われた訴訟の上告審で、最高裁は、先日、父子関係を取り消すことはできないとする判決を言い渡しました。
 
これは、妻が結婚中に妊娠した子は夫の子とする民法の「嫡出推定」規定は、DNA鑑定の結果より優先されるとの初判断を示したことになります。
 
最近は、民間のDNA鑑定の普及で血縁関係の確認は容易になっているが、いったん定まった親子関係を後の鑑定で取り消せるようになると子への不利益が大きいと判断したものと思われます。
 
ただ、5人の裁判官のうち2人は、家族の実情によっては嫡出推定の例外を認めるべきだとする反対意見を述べた。日本社会では血縁関係を重視する考え方も根強く、今後も議論を呼びそうだ。
 
最高裁判決が、親子関係の取り消しを認めず、訴えを起こした原告側の敗訴が確定したため、法律上の親子間では相互の扶養義務や相続の権利などが認められることになります。
 
最高裁は、判決理由で、嫡出推定について「子の身分の法的安定性を保持するのに合理的」と指摘したうえで、「科学的証拠で生物学上の父子関係がないことが明らかになっても、法的安定性の保持は必要」と判断し、「法律上の父子関係と生物学上の父子関係が一致しないこともあるが、民法は容認している」と結論づけた。
 
私は、子どもの法的関係の安定性を優先すべきであると考えますので、基本的には最高裁判決の結論に賛成です。

ただ、この判例を前提とすると、夫は出生後1年以内に嫡出否認の訴えをしなければ、その後、DNA鑑定で親子関係が否定されても、原則として養育費の支払い義務などは継続することになると思われます。

子どもの福祉を重視しつつも、例外的な場合には柔軟な対応も検討すべきだと思います。